編集長コラム)トヨタ自動車の「バックキャスティング」を考える

サウジアラビアのヌアイミ石油相は今年5月、「我が国は2040年までに石油を放棄する用意がある」と表明した。英紙フィナンシャル・タイムズが報じた。同石油相は「将来サウジアラビアは、化石燃料でなく再生可能エネルギーの輸出に取り組む」との考え方を示した。

米ハワイ州では今年5月、全米の州で初めて「2045年までに自然エネルギー100%を目指す」新たな法律が成立した。この法律により、州の発電事業者は2020年までに30%、2040年までに70%、2045年までに100%に電力を再エネから供給することが義務付けられる。

トヨタ自動車はもちろん、レゴ社やサウジアラビア、米ハワイ州の「バックキャスティング」は多くの日本人にとって目を疑うばかりの内容だろう。これらは、あくまで「できるかも知れないし、できないかも知れない」数値目標だ。

だが、20-50年後の未来に向けて、その「あるべき姿」を描きながら動くことと、そうではないこととは、早くも数年後にその実績に差が出ることだろう。日本企業にとって、「バックキャスティング」の思想を取り入れることは将来の競争力に直結するだけに、迅速な対応が求められる。(オルタナ編集長 森 摂)

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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