記事のポイント
- 英シンクタンクのエンバーが「グローバル電力レビュー2026」を公表した
- 2025年、世界の電力の3分の1が再エネとなり、初めて石炭を上回った
- 日本も太陽光が1割に達したが、化石燃料比率は67%とG7平均を大きく上回る
英エネルギーシンクタンクのエンバーは4月21日、2025年の世界の電力動向を包括的に分析した「グローバル電力レビュー2026」を公表した。それによると、2025年、世界の電力の3分の1が再生可能エネルギーとなり、初めて石炭火力による発電を上回った。日本でも太陽光発電がようやく全体の1割に達したが、化石燃料比率は67%とG7平均の50%を大きく上回った。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

(c) Ember
英エネルギーシンクタンクのエンバーは、毎年「グローバル電力レビュー」を公表しており、2026年で7年目となる。このレポートは世界215カ国を対象に分析したものだ。また、世界の電力需要の93%に相当する91カ国については、その最新データも掲載する。
■クリーンエネルギーがエネルギー安全保障の基盤に
2025年、世界の電力需要は849TWh拡大した中で、低炭素電源による発電は887 TWh増と需要増加分を上回った。太陽光発電だけでも需要増加分の75%を占め、風力発電と合わせると99%を満たした。
また世界の再エネ発電比率は33.8%と、初めて3分の1を超え、石炭火力発電を上回った。
2025年は、太陽光発電の増加量(636TWh)だけで、同年ホルムズ海峡を通過して輸出された全LNGによる発電量(推定550 TWh)を代替できる規模となった。
エンバーは、米国・イスラエルとイランとの戦争で、化石燃料市場のボラティリティが顕在化していることを踏まえ、「クリーンエネルギーは不安定な世界におけるエネルギー安全保障の基盤を再定義しつつある」と指摘した。
■中国とインドで化石燃料発電が減少に転じる
2025年、世界の化石燃料発電は前年から0.2%減(38TWh減)と、コロナ禍の2020年以来初めて減少した。
なかでも過去20年以上にわたって、世界の化石燃料発電を増加させてきた最大の牽引国である中国とインドが、今世紀に入って初めて、両国ともに化石燃料発電を減らした。
両国とも2025年は、拡大を続ける電力需要を上回る形で太陽光・風力などの低炭素電源が伸長し、結果として化石燃料の発電は中国で56TWh(0.9%)減、インドで52TWh(3.3%)減となった。中国での減少は2015年以来初、インドではコロナ禍以降、4年連続で化石燃料が増えていた傾向が反転した。
■2025年の日本の化石燃料発電比率は67%
2025年、日本の太陽光発電量は101TWhと、総発電量の10%に達した。2015年には全体に占める比率が3.4%だったことを考えると、約3倍となった。
一方で、風力発電の比率は全体のわずか1.3%にとどまった。2025年に風力発電の増加量は1.3TWhと、過去2番目に高い成長となったが、それでも全体に占める発電比率は、世界平均の8.5%や、アジア平均の7.8%を大きく下回った。

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日本国内の電力需要は2025年に1.3%増加したが、太陽光と原発再稼働による原子力発電の出力増加が需要を上回り、化石燃料発電は0.7%減と3年連続で縮小した。しかし2025年時点でも、化石燃料は電源構成の67%を占め、G7平均の50%を大きく上回った。なお、最大の電源は依然としてガス火力となっており、全体の33%を占めた。
「日本は天然ガスと石炭の大部分を輸入に依存している。太陽光発電と風力発電の両方を拡大することは、エネルギー自給率を高める明確な好機となる。昨今の世界情勢は、きわめて不安定な価格変動を伴う化石燃料の輸入から脱却することの価値を、改めて浮き彫りにしている」とエンバーのリチャード・ブラック政策・戦略担当ディレクターはコメントした。
ブラック氏は、「大きなポテンシャルがありながらもまだ十分活用されていない風力発電と、継続的な太陽光発電の導入を拡大すれば、日本の電源構成は多様化が進み、輸入燃料への依存度を低減できる」と続けた。



