
2015年、世界各国が参加した「パリ協定」は、世界的な平均気温上昇を産業革命以前から2℃以内に抑えるよう定めた。米国ではトランプ政権が自国をパリ合意から撤退させ、化石燃料産業を復活させようとしているが、世界の巨大銀行は続々と環境負荷が高い石炭プロジェクトから資本を引き上げている。『石炭離れ』が国際金融の潮流となりつつある。(編集・翻訳=笈川 一)
ドイツ最大手のドイツ銀行は、石炭プロジェクトへの融資を中止すると発表した。関連会社も、グリーンフィールドの燃料石炭の採掘や、プラントの新規建設に資金を提供しないという。さらに、燃料石炭の採掘における既存の資産も、徐々に削減する。すべては、「パリ協定」に基づき、地球温暖化対策を推進するためだ。
ドイツ銀行の『石炭離れ』は今に始まったことではない。2014年には、豪州クイーンズランド州アボットポイントの石炭港の拡張工事から、資金を撤退している。グレートバリアリーフに与える悪影響や世論の批判の目を避けるためだ。金融コンサルタント「アラベラ・アドバイザーズ」によれば、世界銀行を含めて化石燃料に提供される資本は、世界中で減少しているという。
世界銀行の「Development Policy Financing(開発政策ファイナンス)」(DPF)プログラムは、総資金の3分の1を占め、2016年には総額160億ドルに達している。同プログラムは世界銀行の「気候行動計画」に基づき、発展途上国が低炭素社会に転換できるよう、化石燃料から投資を引き上げつつある。