企業とNPOが社会の未来を考える「CSRフェス」

オルタナと日本財団CANPANプロジェクトは7月24日、第1回「CSRフェス2017」を都内で開催した。NPO 10団体、企業5社がCSRに関する取り組みをプレゼンテーションしたほか、約70人のビジネスパーソンやNGO/NPO、学生らがグループに分かれ、CSRダイアログを行った。(オルタナ編集部)

約70人のビジネスパーソンやNGO/NPO、学生らが集まった

「CSRフェス」は、企業×NGO/NPO×学生間のネットワークをつくり、CSR/CSVに対する認知度や関心を高め、サステナブルな社会の実現をともに目指すことを目的にしている。

オルタナの森摂編集長が「SDGsとビジネスとCSR」と題した講演を行い、CSRの歴史的経緯から、2015年9月に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)をどのように組織に取り込んでいくかなどについて話した。

第1部のCSRプレゼンテーションでは、企業5社がプレゼンテーションを行い、第2部ではNPOがプレゼンテーションを行った。その後、各出展者のブースでCSRダイアログが行われた。出展企業・団体の取り組みは次のとおり(五十音順)。

◆企業

・大川印刷
本業を通じたCSRを目指す横浜の印刷会社。災害時などに備え、インターンシップ生が高齢者向け「おくすり手帳」のプロジェクトを開始。日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語に対応する「多言語版おくすり手帳」に発展し、現在1冊75円で販売されている。
http://www.ohkawa-inc.co.jp/

・中越パルプ工業
年間約80トンの紙パルプを製造販売する総合製紙会社。100%竹で作った「竹紙」や里山保全につながる「里山物語」などを製造販売している。ドキュメンタリー映画の市民上映会「銀座ソーシャル映画祭」を開くなど、社会啓発にも力を入れる。
http://www.chuetsu-pulp.co.jp/

・博展
世界11カ国12都市で開かれている「サステナブル・ブランド国際会議」を日本で開催。「サステナブル・ブランド 国際会議2018東京」は2018年3月1、2日にヒルトン東京お台場で開催される。テーマは「グッドライフの再定義」。途上国の貧困や気候変動など地球規模の社会課題に目を向けたビジネスのあり方を考える。
http://www.sustainablebrands.jp/

・みんな電力
みんな電力は、「顔の見える野菜」のように、電力の生産者とユーザーが直接つながる「顔の見える電力」を推進している。さらに、みんな電力を通じた電気を使うことで、地域活性や復興支援につながるサービスも提供する。
http://corp.minden.co.jp

・薬樹
関東圏で約150店舗の薬局を運営。社会課題起点のビジネス創出を目指す「超CSR」に取り組む。例えば、店舗で古着を回収し、NPOに寄付し、元少年兵の社会復帰や地雷撤去を支援するプロジェクトも行う。顧客との接点づくりにもつながっている。
http://www.yakuju.co.jp/

・オルタナ(主催者)/[新]CSR検定
[新]CSR検定は、CSRの理解者を企業や社会の中に増やし、CSRの裾野を広げることを目的に実施されている。2015年3月から年2回、札幌市から熊本市まで全国19会場で開かれている。
https://www.csr-today.biz/exam

◆NGO/NPO

・一般社団法人CAN net
「働く世代」でがんになる人は、3人に1人いる。8割は仕事を続けることを希望しているが、依頼退職・解雇の割合は3割にも上る。CAN netは、病気があっても、自分らしく生きられる社会を目指し、医療・福祉・介護関係者、法律家、美容関係者、キャリアコンサルタント、企業人など約70人のメンバーが活動している。
http://can-net.jp/
https://giftbook.giftree.jp/

・社会的インパクト評価イニシアティブ

事業や活動の結果として生じた社会的・環境的な変化、便益、学びその他効果を定量的・定性的に把握し、事業や活動について価値判断を加える「社会的インパクト評価」。国際的な潮流として資金の出し手が成果を求める流れがあり、評価を行うことで、事業の改善などに生かすことができる。
http://www.impactmeasurement.jp/

・日本財団パラリンピックサポートセンター
「パラリンピックには社会を変える力がある」を掲げ、2020年東京パラリンピック大会の成功とパラスポーツの振興を目的に、2015年5月、日本財団の支援により設立された。競技団体の組織基盤強化、選手の生活基盤や練習環境の向上、ボランティアリーダーの育成などに取り組んでいる。
https://www.parasapo.tokyo/

・NPO法人日本ファンドレイジング協会
「新しいお金の流れ」をつくり、「善意の資金」10兆円時代の実現を目指す。ファンドレイザー(民間非営利組織の資金集めに関わる人々)の育成に力を入れ、認定ファンドレイザー資格制度などを運営。認定ファンドレイザーは91人、准認定ファンドレイザーは849人に上る。
http://jfra.jp
https://readyfor.jp/projects/payforward

・日本ファンドレイジング協会(寄付月間)
寄付月間(Giving December)は、NPO、大学、企業、行政などで寄付にかかわる主な関係者が幅広く集い、寄付が人々の幸せを生み出す社会をつくるために、12月1日から31日の間、協働で行う全国的なキャンペーン。寄付について考えるきっかけを提供している。
http://giving12.jp/

・一般財団法人非営利組織評価センター(JCNE)

特定非営利活動法人、非営利型の一般社団法人・一般財団法人を対象に、社会課題に取り組む団体の組織運営状況を評価・公開している。第三者評価機関であるJCNEが中立の立場で、評価基準項目に照らして組織運営状況を書面で評価し、サイトで公開する。
https://jcne.or.jp/

・バリアフリー情報アプリ「Bmaps」
ユニバーサルデザインのコンサルティングを行うミライロが開発したバリアフリー情報アプリ「Bmaps」。貸し出し車イスの有無やトイレの設備、入口の段差の数など、障がい者や高齢者、ベビーカー利用者、外国人など多様なユーザーが安心して外出できる情報を提供している。
https://bmaps.world/

・NPO法人マドレボニータ

産後の三大危機、「産後うつ」「乳児虐待」「夫婦の不和」の解決に取り組む。これまでに全国16都道府県60カ所で、46682人が産後ケアの教室を受講した。産後のケアは自己責任とされる風潮があるなか、マドレボニータは啓発や機会の提供に力をいれる。 
http://www.madrebonita.com

・NPO法人森のライフスタイル研究所
企業の困りごとと森林の課題を解決する「木づかいプロジェクト」を展開。従業員が林産物の開発を行い、作り上げる時間をワークショップ化し、完成したものを保育園などに寄贈するプログラムなどを運営している。「正しいことを、楽しく」をモットーに、市民や企業とともに長続きする森づくりを目指す。
http://moridukuri.or.jp/

◆当日の資料や参加者の感想はこちらから

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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