SDGs実装元年、ジャパンアワードで伊藤園が特別賞

企業の中で、SDGs推進の「トップランナー」とされた受賞4社のポイントは次のとおりである(次のページの受賞団体の取組紹介PDFより)。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/

(サラヤ株式会社)

・ウガンダとカンボジアで市民と医療施設の2方向から、手洗いを基本とする衛生の向上のための取組を推進。

・「100万人の手洗いプロジェクト」として、商品の出荷額1%をウガンダにおけるユニセフの手洗い普及活動の支援に当てている。ウガンダに「現地法人サラヤ・イーストアフリカ」を設立し、現地生産の消毒剤やその使用方法を含めた衛生マニュアルを提供。

・持続可能なパーム油類(RSPO認証油)の使用やアブラヤシ生産地の生物多様性の保全に取り組むと同時に消費者へのエシカル消費の啓発を実施。

(住友化学株式会社)

・MDGsから継続してマラリア対策に統合的に取り組んできた経験を踏まえ、SDGsの達成に向けては全事業を通じて全社員で取組む考え。そのためトップの強いリーダーシップの下、2016年から「Sumika Sustainable Solutions(SSS)」と「サステナブルツリー」を開始。

・「SSS」では環境面からSDGsに貢献する製品・技術(現在34製品・技術)を認定、売上高として達成目標を掲げて、実効的にSDGsに貢献。「サステナブルツリー」では「SSS」と連携しつつ社員のための専用ウェブを通じて、SDGsの正しい理解と主体的な取組を促進。

・「オリセット®ネット」事業を通じて、感染症対策のみならず、雇用・教育・ジェンダー等幅広い分野において、経済・社会・環境の統合的向上に貢献。

(吉本興業株式会社)

・吉本グループ全体でのSDGs意識涵養の共有。

・吉本興業が実施するイベント、メディア、コンテンツと連動し、多数の所属タレントを起用したSDGsの広範多様な発信啓発。

・地域と連携した地元振興PRや被災地への訪問活動など、「誰も取り残さない」ための実践的取組を推進。

・具体的には、①SDGsの啓発アニメーションやPRCMの製作・上映②SDGs啓発スタンプラリー③SDGsをテーマにしたお笑いコンテスト「SDGs-1グランプリ」④SDGs吉本新喜劇などを幅広く実施するとともに、多様なステークホルダーとの連携活動も展開。

■伊藤園のSDGs受賞内容

総合飲料メーカーの伊藤園は、主力事業である緑茶事業などで、「茶畑から茶殻まで」の一貫した生産体制を構築して、SDGsの目標12「持続可能な生産と消費」など、幅広い目標に貢献していることが評価された。

特に、①代表的な事業である茶産地育成事業(新産地事業)(SDGs目標の2,8,12)②茶殻リサイクルシステム③健康配慮商品④厚生労働省認定のティーテイスター社内検定(働きがいを向上)⑤お~いお茶新俳句大賞(政府が推進する「beyond 2020プログラムとして認証)⑥「お茶で日本を美しく。」プロジェクトなどの取組により、調達から製造・物流,商品企画・開発,営業・販売の一貫体制(バリューチェーン)全体で価値創造をし、SDGsに取り組んでいる。

伊藤園の茶産地育成事業(新産地事業)
sasaya_hidemitsu

笹谷 秀光(CSR/SDGsコンサルタント)

東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年~2019年4月伊藤園で、取締役、常務執行役員等を歴任。2020年4月より現職。著書『CSR新時代の競争戦略』日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代』(ウィズワークス社・2015年)。『 経営に生かすSDGs講座』(環境新聞社・2018年)、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社・2019年)。 笹谷秀光公式サイトー発信型三方よし 執筆記事一覧 

執筆記事一覧
キーワード: #SDGs

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..