多賀城市発の新たな地域連携モデル「TSR」

宮城・多賀城で持続可能な地域連携モデルを探る全員参加型会議「Tagajo Sustainable Relationship」 (TSR)がこのほど、多賀城市で開催された。TSRは様々なセクターがビジョンを共有し、福祉支援、防犯・見守り、まちづくりといったテーマに取り組む。今回は「企業×地域」にスポットをあて、先進事例の紹介や多賀城市市民活動サポートセンターが行った市内企業の社会貢献活動に関する調査報告、地元企業3社による参加型会議が行われた。(オフィスBeni代表/SDGs東北プラットフォーム代表=紅邑晶子)

TSRは「PUBLIC HOUSE 多賀城」(蔦屋書店・多賀城市立図書館内3F)で開かれた

TSRは「Social Responsibility(社会責任)」とせずに「Sustainable Relationship(持続可能な関係性)」としたところがアピールポイントだ。

初めにシブヤ大学学長・左京泰明さんが団体を立ち上げた経緯や活動内容を紹介。「渋谷民とは、渋谷区民・区内企業や学校に通う人々・渋谷を愛するすべての人々」と定義しているという話は、仙台市のベットタウンである多賀城市とは逆の構図で、多賀城民とはどういう人なのかを考えさせられた。

シブヤ大学の事業として紹介された「都市想像会議」は、渋谷で起きている課題やこれから起きそうな課題をテーマにした「テーマ×都市」という会議。毎回テーマに詳しいトークゲスト数人を会場真ん中のテーブルに集めて、参加者が金魚鉢を覗き込むように周りを取り囲み、真ん中のトークに耳を傾けるという手法で議論を深めている。

この会議は、そこで交わされた議論をすぐに文字越ししてPDFにしてホームページにアップしている。毎回の議事録の蓄積が渋谷のまちづくりに関する共有財産になるということだった。

まちづくりというと多くの場合、自治体に選ばれた人たちの議論で終始しオープンデータにもなりにくい。この手法は、どのタイミングからでも関心のあるテーマからこのまちについて議論されたことを「知りたい人が知る」機会を提供している。

都市想像会議を模して、会場中央にゲストスピーカー席を設けた

後半は、地元企業3社が取り組んでいる社会貢献活動の事例紹介があった。「企業トップが『いい仕事をすれば、自分の会社に戻ってくる』ということを社員に伝え続ける」「地域が成り立っていなければ、仕事が成り立たない。地域が良くなれば、いい仕事ができる」「事業そのものが社会貢献である」など、「企業×地域」というかかわりが持続可能な企業活動につながっていることが述べられた。

参加者からは、このような地元の中小企業経営者のコメントをあまり知る機会がなかったので、今回のような催しを望む声も多くあり、次回に期待したい。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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