「作業のやり直し」をどう減らすか:「カイケツ」

■ボランティアが気持ちよく働ける環境づくりを

NPO法人ペアレント・サポート すてっぷ(岡山県倉敷市)理事長の安藤希代子さんは、障がい児の保護者支援活動を行っている。当事者による当事者支援「ピアサポート」が特徴で、保護者の悩みやストレスを軽減する取り組みや、「子育てハンドブック」の制作などを行う。

支援事業は順調な一方で、梱包作業や庭仕事などバックヤード業務の整理ができていなかったという。安藤さんは「NPOとして社会に開かれた存在でありたい。パートやアルバイト、ボランティアなどさまざまな外部の方に、気軽に気持ちよく手伝ってもらえる環境をつくりたい」と話す。

古谷講師は、人が変わっても作業が引き継がれたり、教えたりするための道具として「作業要領書」の作成手順を説明。さらに、トヨタ自動車の事例として、工具の置き場所を徹底する「4S(整理、整頓、清掃、清潔)」を紹介した。

古谷講師は「どのような職種でも、ほとんどの仕事は2人以上の共同作業で成り立っている。当たり前に思えることでも、『見える化』することが大切」と話した。

Cloud JAPANの村松さん(左)と細見講師

NPO法人Cloud JAPAN(宮城県気仙沼市)は、ゲストハウス「架け橋」を運営するほか、同施設を絵本カフェとしても地域に開放している。同NPOの村松ももこさんは、作業が属人的になり、ゲストハウスとカフェの連携がうまくいかず、業務のムダが多いという問題を抱える。カイケツの講座では、細見講師と、情報共有と確認のプロセスを見直している最中だ。

村松さんは「カイケツに参加して、問題に気付き、どうしたら改善できるか、自身もスタッフも考えるきっかけになった」と語った。

次回(第5回)のカイケツは8月9日に開催され、「対策立案」が行われる。

◆第1ステップ「テーマ選定」――組織や人のせいにしない、トヨタ式「問題解決」
◆第2ステップ「現状把握」――「自分がやった方が早い」から抜け出す

<トヨタ自動車の「問題解決」の8ステップ>

1.テーマ選定:
改善したい課題を1文にまとめるステップ。テーマを読めば、改善の狙いが理解できるように表現する。「どこで」「何を」「どのように」の3項目を具体的に書く。

2.現状把握:
問題が起きている事実を定量的に把握するステップ。事象をデータ化し、問題点を絞る。主観ではなく、多くの客観的な事実を集めて定量的に整理する。

3.目標設定:
目標を設定するステップ。その目標を達成すると、選定したテーマを解決できるレベルに設定する。

4.要因解析:
原因についての真因を探るステップ。事象に対して、5回の「なぜ」を繰り返す。現状把握と混同して考えてしまいがちだが、現状把握では要因は書かない。事実だけをまとめる。

5.対策立案:
要因解析で見つけた真因を解決するための対策を立てるステップ。真因ごとに、「対策内容」「担当者」「期限」に分けて記入する。真因への対策をいきなり考えるのではなく、方向性を明確にしてから、アイデアを出していく。

6.対策実行:
実行する対策の内容やスケジュールをまとめるステップ。

7.効果確認:
実施した対策内容によりどの程度効果が出たのかを評価するステップ。

8.標準化と管理の定着:
効果の出た対策の内容を標準化し、定着させるステップ。同じ問題の再発を防ぐことができる。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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