英国人作家が描いた長崎の原爆「平和の教科書に」

復刻版の表紙

長崎で被曝し瀕死の重傷を負った「赤い背中の少年」故・谷口稜曄(すみてる)さんを主人公に平和を訴えた『ナガサキの郵便配達』の日本語版が9日に復刻された。原作者のピーター・タウンゼントさんは映画「ローマの休日」のモデルとなった英国軍の戦闘機パイロットだった。2日、都内の記者会見でナガサキの郵便配達制作プロジェクトの齋藤芳弘代表は、全国の高校への無料配布を目指し「平和の教科書にしたい」と語った。(松島香織)

『ナガサキの郵便配達』は1984年に英語版と仏語版が出版された。翌年、仏語版を底本とした日本語版が出版されたが、谷口さん以外の長崎の被爆者や医師、日本軍によって長崎の収容所に入れられ被曝した英国人捕虜の証言等が抜けていた。今回の復刻版は英語版を底本とした完全翻訳となっている。生涯をかけて核兵器廃絶を訴えた谷口さんは存命中、原作に忠実な日本語版の出版を望んでいたという。

イザベルさん(中央)と原作本を掲げる齋藤代表(8月2日日比谷図書文化館)

著作権者で原作者の長女のイザベル・タウンゼントさん(57)は、復刻版の出版に合わせて来日し、「父の仕事(『ナガサキの郵便配達』の執筆)が平和運動に貢献していることを誇りに思う」と話した。父親が取材した長崎を訪れ、その様子はドキュメンタリー映画として来春完成予定だ。

『ナガサキの郵便配達』の出版は寄付によって賄われており、多くの人に読み伝えてもらう平和運動にしたいと齋藤代表は考えている。

【問い合わせ先】
一般社団法人「ナガサキの郵便配達制作プロジェクト」事務局
TEL:03-6821-7702
FAX:03-6821-5704

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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