エコ貯金の潮流は預ける側だけでなく、貸す側=事業者にも変化を起こしている。A SEEDでエコ貯金プロジェクトの責任者を務める土谷和之理事は「優秀な人材がソーシャルファイナンス(社会的金融)の担い手に参画するようになった」と語る。

■優秀な人材が参画

土谷氏が参加する団体「ARUN(アルン)」は、途上国の社会的企業に対して投資を行う目的で2009年12月に誕生。この会社のメンバーは、金融機関やベンチャーキャピタルなどで働いた経験を持ち、専門的なスキルを身に付けた人ばかりだ。

【画像】国際環境NGO「A SEED JAPAN」・エコ貯金ナビのホームページ

土谷氏はその背景について「2008年9月のサブプライム危機がターニングポイントだった。あの事件をきっかけに、利潤ばかりを追求する金融システムのあり方に対して『このままでいいのか』と疑問を持つ人が増えた」とみる。

変化の兆しは社会にも現れている。土谷氏によれば、この2年間でNPOバンク事業を始めたいと希望する人が増え、金融庁でも貸金業法の見直しなど規制緩和にむけて動きはじめたという。

そして、エコ貯金の将来を占う上で大きな鍵を握るのが、これまでエコ貯金とはなじみの薄かった大手銀行だ。

■「向こう10年で大きく変わる」

クラスター爆弾の保有を禁じるオスロ条約の今年8月の発効を前に、クラスター爆弾製造企業への融資の事実を指摘されていた三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3行は、今後は同様の融資を行うことを内規で禁じたことが7月末に明らかとなった。過去にA SEEDは3行に公開質問状を送り、融資基準を問いただしてきたが、同NPOらの継続的な努力がメガバンクの姿勢を変えさせた形だ。

さらに9月には、環境省の呼びかけで日本版「環境金融指針」の制定に向けて25の金融機関が会合を始めた。欧米では同指針に、環境負荷の高いビジネスには融資条件を厳しくし、優れた環境経営を実践する企業には融資条件を優遇するなどの内容が盛り込まれ、普及を見せている。 土谷氏は「これからはメガバンクもソーシャルファイナンスの分野に進出するだろう」と読む。市民の意思が金融機関を動かすエコ貯金の流れを、もはや大手銀行も見過ごせくなっている。

と同時に、今後はこれまでNPOバンクが培ってきた運営のノウハウが公開・共有され、設立に向けた公的なガイドラインが整備されることによって新規参入のハードルも下がっていく。土谷氏は「向こう10年で大きく変わる」と展望するが、エコ貯金が社会に深く浸透し、様々な課題を解決する時代は目前と言えそうだ。
(オルタナ編集部=斉藤円華)2010年10月19日

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