独ダイムラーはこのほど、2039年までにメルセデスベンツのすべての新車のカーボンフットプリントをゼロにする目標を明らかにした。ドイツでは、自動車部品最大手のボッシュも2020年から世界400拠点以上の全社ベースでCO₂排出を実質的にゼロにすると発表したばかりで、欧州の自動車業界でサステナビリティ戦略に拍車が掛かりそうだ。(ドイツ=川崎陽子)

ボッシュは、来年までに大手製造業初のカーボン排出ゼロを達成するとしており、既にインドやメキシコなどでも大量のCO2を削減してきた。2030年までに投資する20億ユーロ(約2500億円)のうち10億ユーロは、グリーン電力やCO2排出枠の購入、自社で発電する再生可能エネルギーの割合を増やす目的に使う。さらに、工場や建物の省エネルギー化に10億ユーロ投資することで、年間消費電力の5分の1以上を節電でき、投資額の半分は回収できるという。
フォルクマー・デナー社長は、「我々の投資は、全人類のためにも使われる」と強調した。一方で、このニュースを一斉に報じた独メディアの中には、従業員の解雇による経費削減を心配する声もあった。
ダイムラーのサステナビリティ戦略「アンビション(Ambition)2039」を発表したのは、CEO就任を目前に控えたオレ・ケレニウス研究開発責任者だ。20年以内に新車はすべてカーボン排出ゼロにするという目標に向けて、段階的な目標も設定している。
まずは、2022年までに欧州の全工場で再生可能エネルギーを使い、カーボンニュートラルを目指す。2030年までには、新車の半数以上を電気自動車かプラグインハイブリッド車にする。乗用車だけでなくトラックやバスの電動化や、燃料電池などの技術開発にも並行して取り組む。
ケレニウス次期社長は、納入業者もカーボンニュートラルを目指して後続するようにと呼びかけ、変革に向けての固い決意と自信を表明した。