■子どもたちが自由に選べる放課後の過ごし方
同フォーラムを主催した放課後NPOアフタースクールは、東京、千葉、神奈川の小学校で20校のアフタースクールを運営しているほか、千葉県千葉市や兵庫県南あわじ市など地方でも放課後活動の支援を行っている。
アフタースクールでは「市民先生」と呼ばれる地域の大人たちが、日々様々なプログラムを行い、子どもたちに本物の知恵や技を伝えている。市民先生との関わりを通じて社会とつながる機会を与えたり、子どもたちが主体的に探究する・好きなことを追求してそれぞれの個性を伸ばしていくための環境を整えたりしているのが同団体の特徴だ。

当日の午後には、アフタースクールの各拠点にて現地視察も開催。新渡戸文化学園の「新渡戸文化アフタースクール」では午後2時半ごろになると、授業を終えた子どもたちが次々とアフタースクールの教室に入室してきた。
アフタースクールの中に入るとおもちゃで遊んでいる子、宿題を持って勉強部屋へ向かう子、プログラムに参加する準備を行う子など、様々なことを行っている子どもたちの姿がある。
アフタースクールでは宿題をやるかどうか(やることを推奨はするが強制はしない)、おやつを食べるか、プログラムに参加するか、すべては子どもたち自身が決めて行動する。自由と自主性が尊重されているので、子どもたちも羽をのばしている様子がそこかしこで見られた。
この日はダンスや女子サッカー、プログラミングなど9種類のプログラムが校内の様々な場所で同時開催。先生の話を真剣に聞きながら参加している子どもたちの姿があった。

参加者からは、「つい、自分たち(運営側)の効率を優先しがちですが、子ども目線に立って活動されていてすごいですね!」と感心する声があがった。同団体副代表の織畑研さんは「子どもにとっていろんな選択肢があることにこだわっています。その方が子どもも楽しそうなので」とその意図を語った。

同団体は様々な団体や企業と協働してこれからも放課後の居場所やプログラムをつくっていく。「今回の勉強会を通じて、参加者の方が『課題は工夫や考え方次第で解決できるかも』と思えたり、小さなことでも何かを始めるきっかけになればと思います」と同フォーラム担当の有坂絢子さんは思いを語った。
子どもたちが安心して過ごすことができ、かつ豊かな経験ができる放課後をどのようにつくっていくのか。子どもたちをめぐる課題は、決して学校や保護者だけの問題ではない。社会全体で考えていくことが求められている。(文:ライター・青木陽子)