エゴからエコへ 57 (文・田口 ランディ)

スコットランドの田舎町フォレスで
「すみません、袋をください」と言ったら「はあ?」という顔をされた。「袋はないので、あそこにあるダンボールに入れて持ち帰ってね」。
しまった。日本の常識はここでは非常識。私たちはスコットランドの田舎町を旅行していた。
おとぎ話に出てきそうな美しい町フォレスのコーポで買い物をしたがエコバックを忘れたため、ワインやパンをお互いのバックパックに詰め込んだ。
どこのお店に入っても商品の包装は簡易。袋はくれない。日本のように「品物にテープを貼らせてください」とも言われない。
「日本はやっぱり過剰包装の国だと思うよ」
私の呟きに、友人も頷いた。
*この続きは雑誌「オルタナ」58号「SDGs時代の地域金融」(9月30日発売)に掲載しています。

作家 東京生まれ。
近刊は地下鉄サリン事件実行犯で昨年に死刑執行された林泰男との14年間の文通・交流をもとに描いた私小説「逆さに吊るされた男」(河出書房新社)