■【3】非国家アクターの動き
そしてCOP25ハイライトの3つ目は、国連の交渉の外で、活発に繰り広げられる政府以外の主体「非国家アクター」の積極的な温暖化対策の表明です。
【3】(1)アメリカの非国家アクターの積極的な温暖化対策
パリ協定は、非国家アクターと呼ばれる都市や自治体、企業などが、国を超えて集まりさまざまな温暖化対策のイニシアティブを立ち上げ、野心的な温暖化対策を次々と打ち上げたことも、大きな力となったことで成立しました。
その後に開催されたCOPでは、実際の政府間の交渉の場と同じ大きさの会場が横に用意され、各国政府のみならず、都市や自治体、企業がパビリオンなどを出展して、「2050年(もっと早くも)に排出実質ゼロ」、「石炭火力廃止」などの積極的な約束を競って表明するようになっています。そして今回のCOP25においても、活発な非国家アクターの動きが繰り広げられました。
中でも大きな注目を集めたのは、トランプ大統領のいるアメリカです。
トランプ大統領は今回国連に対して正式にパリ協定からの離脱を通告しました。もっともパリ協定は離脱を通告してから1年後にしか抜けられないので、アメリカが正式にパリ協定から離脱するのは、2020年11月4日、すなわち次期大統領選挙の翌日です。それまではアメリカ政府代表団もCOP25を含めてCOP会議に参加し、真摯にパリ協定のルール作りに参加はしています。
そのアメリカで連邦政府が不在の中でも、州政府や都市、企業の連合が「我々はまだパリ協定にいる(We Are Still In)」という連盟が拡大しており、今やアメリカのGDPの65%、排出量にして50%を超える参加を得て、ますます力を増しています。
そのWe Are Still InおよびAmerica’s Pledgeの立役者の一人、ブルームバーグ氏などが会場に登壇して、アメリカの温暖化対策の前進を次々と訴えていました。これらも交渉を後押しする大きな力となっています。

【3】(2)日本の非国家アクターの積極的な温暖化対策