今年も宜しくお願いいたします。2020年最初のコラムをお届けします。年始企画として、サステナビリティ領域における「今年のトレンド」を3つ挙げてみました。(オルタナ編集長・森 摂)
「トレンド1」はサステナビリティ領域における経営陣の責任がさらに増すこと。「トレンド2」は、SDGs(持続可能な開発目標)が日本に浸透してきた中で「SDGsウォッシュ」がさらに増えること。「トレンド3」は「温室効果ガスの排出で2℃目標では通用しなくなる」ことです。
「トレンド1」は明白です。サステナビリティ(持続可能性)とプロフィタビリティ(収益性)を同軸に捉え、前者をコストではなく、投資と捉えられるかです。今後、ミレニアル世代(1980年生まれ以降)が企業の中堅社員となり、消費の主体となります。
その中で、企業が社会的な取り組みをしているかどうかが、従業員や顧客からの信頼度合いがCS(顧客満足度)やES(従業員満足度)を左右します。機関投資家やアナリストも企業の非財務情報を注視していています。企業がどんなサステナビリティ戦略を取るのかは、経営陣の陣頭指揮が必要です。
「トレンド2」のSDGsウォッシュは、以前のコラム「SDGsウォッシュにご用心」で書きました。要は「言っていることとやっていることが違う」ことです。個人的な印象ですが、日本は「世界で最も多くのビジネスパーソンがSDGsバッヂを付けている国」になったようです。そのバッヂの精神をどれだけ共有しているかです。
SBTで「1.5℃目標」の承認を受けた日本企業は3社だけ
「トレンド3」は「温室効果ガスの排出で2℃目標では通用しない」ことです。ここは少し説明が必要です。2015年に気候変動枠組条約締約国会議(COP20)で採択されたパリ協定では「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ことが決まりました。
これまでは温室効果ガスの目標設定に1.5~2℃という幅がありましたが、この1年くらいの間に国際社会では急速に「2℃目標では不十分」という機運が高まってきたのです。