環境省が「ESGアワード」、花王など7社が金賞

環境省が主催する第1回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」表彰式が26日、都内で開催された。環境サステナブル経営に取り組む企業やESG(環境・社会・ガバナンス)金融に積極的に取り組む金融機関、諸団体42社が表彰された。花王や第一生命保険など7社が各部門で金賞を受賞した。小泉進次郎環境相は挨拶で「ESG金融大国日本を目指す」と力を込めた。(オルタナ総研コンサルタント=室井孝之)

小泉進次郎環境相は挨拶で「ESG金融大国を目指す」と述べた(2月26日)

アワードは、ESG金融に積極的に取り組み、環境・社会に優れたインパクトを与えた投資家・金融機関や、環境関連の重要な機会とリスクを経営戦略に取り込み、企業価値と環境へインパクトを生み出す企業の取り組みを評価することを目的に、2019年10月に創設された。

金賞には、環境サステナブル企業部門では花王、キリンホールディングス。投資家部門では第一生命保険、ニッセイアセットマネジメント。ボンド部門では芙蓉総合リース。金融サービス部門ではS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス。融資部門では三井住友信託銀行、の計7社が受賞した。銀賞は13社、銅賞は22社だった。

環境サステナブル企業部門は、環境課題に関する「リスク・事業機会・戦略」「KPI」「ガバナンス」の開示充実度に加え、投資家による評価や経営層インタビューで審査した。

その他の4部門については、「目的の明確性」「透明性」「規模」「インパクト」「新規性」「波及性」の6項目に沿って審査。投資家部門は、アセットオーナー、アセットマネージャーなど投資家を対象にESG投資の積極性を評価した。

同様にボンド部門は債券発行者を対象に債券市場の発展や環境インパクト評価への貢献を、金融サービス部門は証券会社や保険会社、評価機関を対象にESG金融市場の発展への貢献や商品拡大、インフラ整備の積極性を、融資部門は銀行を対象にESG要素を考慮した評価・審査や環境・社会事業への融資の積極性を、それぞれ評価した。

選定委員長の北川哲雄青山学院大学名誉教授は、「環境サステナブル企業の開示レベルは欧州に伍している。今後は、日本版開示基準が必要だ」と評した。

小泉環境相は、「(気候関連の情報開示や金融機関への対応について定めた)TCFDと、(世界の平均気温上昇を2℃未満に抑えるために企業に削減目標の設定を求めるイニシアチブである)SBTで、日本は世界に冠たる取り組みをしよう」と強調した。

■受賞者一覧

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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