二宮さんは2011年にストライプインターナショナル(当時はクロスカンパニー)に中途入社すると、12年から人事課長として新卒採用や教育研修を担当してきた。平均年齢25歳という若い組織で、主力の女性管理職の一人としてスタッフの相談に乗ることも多かった。愛着もあり、若手スタッフを「あの子たち」と呼ぶ。
「よく女性が社会人として、世の中をうまく渡り歩くために、多少のセクハラは我慢して当たり前という風潮があるが違和感を覚える。それは問題解決の先送りであり、対応できない方がダメというのは、いまの時代、明らかにおかしい」と言い切り、「声を上げたことを尊重できる組織にしていきたい」と語句を強める。
二宮さんと話していて感じたのは、同僚とりわけ若手スタッフへの思いの強さだ。筆者が、「現役社員として発信することに葛藤はなかったか」と聞くと、「退職した後で発信したら、いま働いている子たちへのメッセージ性は弱くなる。むしろ、不安を煽るだけ」と返した。
「コロナの感染リスクに動揺しながらも、店舗に立って、売り上げをつくってくれた子たちがいる中で、オフィスメンバーとして素知らぬ顔はしたくなかった」と思いを語った。

報道に関して話をする時は、「実名、顔出し」で行くと決めていた。その理由は、「匿名で何か新しいことを伝えても、社内のメンバーを励ますことにはならないと思ったから」と一貫している。