アーダーン・ニュージーランド首相が4月27日、新型コロナウイルスについての会見で「勝利宣言」を行ったと海外メディアが報じた。しかし同首相が言及したのは、あくまで「市中感染をなくすことに成功した」ことだけだ。実際の会見でも、「勝利宣言」というには程遠く、「油断せずに現状を維持しよう」と注意喚起していた。(NZニュープリマス=クローディアー真理)

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同日の会見上、アーダーン首相の発言で、海外メディアが大々的に「勝利宣言」と書き立てた。新型コロナウイルスを撲滅したようにも取られかねないが、実は、「拡大傾向にありながら、政府が把握していない市中感染は国内に存在しない」という事実に対して成功を収めたことを意味する。
首相は状況説明後、「この戦いには勝った」と早口で付け加え、間髪入れずに「現状を維持するために今後も慎重を期す必要がある」と強調した。話し方といい、勝利を報告するのもそこそこに注意を促す一言に移ったことといい、「勝利宣言」の雰囲気はみじんもなかった。
首相の言動は、この「勝利」が、あくまで最終目標達成の途上にある一関門をクリアしたに過ぎず、喜んでいる場合ではないことを物語る。ニュージーランド政府が掲げる、新型コロナウイルス対処における目標は「排除 (Elimination)」であり、感染の抑制を目指すほかの国々と比較し、徹底的である分、より多くのハードルを乗り越えねばならない。
■目標は「根絶」ではなく、「排除」