金融業務の真髄は「話を聴くこと」(林 公則)

■オルタナ本誌60号 つなぐ金融から

金融機関で最も重要な業務は話を聴くこと(相談業務)ではないかと思うことがある。と言うのは、金融仲介によって社会に新たな価値(ここでの価値には、経済的な価値だけではなく、教育的な価値や芸術的な価値も含まれる)を創出するためには、支援に値する事業を金融機関自身が育成する必要があると考えるからだ。

筆者が相談業務を重視するようになったきっかけは、2015年5月にスイスで会ったロルフ・ケルラーの言葉である。ケルラーは、ドイツの社会的金融機関であるGLS銀行の創設時のメンバーの一人で、その後も長期にわたってかかわり続けた人物である。

惜しくも同年12月にこの世を去ったが、彼の2011年の著作『人間のための銀行』(邦訳2014年発刊)で次の言葉を残している。

「ある人が自分のためだけではなく、同時に社会のために努力していることが認められたとき、支援されるに値します。まだ支援される段階にまで至っていない場合も、その人が望むのであれば、その創意が支援に値するように変化するまで話し合ってあげなければなりません。資力が少なければ少ないほど、苦悩が多ければ多いほど、いっそう多くの支援が必要です。普通、銀行はすでに資産を持っている人に融資します。融資を受けるために差し出すべき実物の担保を持っていない人は、銀行からは何も得られません」

*この続きは雑誌「オルタナ」60号(第一特集「循環経済(サーキュラーエコノミー)はR(リサイクル)よりもR(リデュース)」、3月30日発売)に掲載しています。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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