映画「もったいないキッチン」、食ロス解決策を提案

「食品ロス」に対する認知を高めたい

「私の映画作りと料理には共通点があります。それは最後には、いいストーリーやいい食事で、人々を幸せにしたいと思っていることです。でもそこに到達するまでの明確な道筋は、いつも決まっていない」と話すダーヴィドさんは、前作の「0円キッチン」でも、ロードムービーというスタイルで、食品ロスに対する認知を高めるための映画を作っている。

ダーヴィドさんが「映画を通じて問題を指摘するのではなく、解決策を提案したい」と話すように、今回の「もったいないキッチン」には、日本全国の食にまつわる様々な人々が登場し、無駄をなくす食への多角的なアプローチが紹介されている。

「今回の撮影を通じて、思っていた以上に『もったいない』という言葉に宿るスピリチャルな部分に触れることができた」と話すダーヴィドさん。日本人が食べものや生き物に宿る魂のようなものに対し、ある種の畏敬の念を持っていることを知って非常に驚いたという。そしてこの「もったいない」の本質への気づきがあれば、食品ロスに対する行動に、大きな影響を与えられることを感じたと話す。

実際、この映画に登場する料理の数々は、手間はかかっていても、複雑な料理や手法は登場しない。例えば、京都在住で野草のプロとして知られている「若杉ばあちゃん」こと若杉友子さんもその一人。ダーヴィドさんが旅で出会った中でも若杉さんは最も忘れられない人だと話す。

野草料理を振る舞う若杉ばあちゃんこと若杉友子さん

若杉さんは「食べ物が変われば、身体が変わる。身体が変わると心が変わる。心が変わると生き方が変わる」と話す。「自然とともに生きる」を実践している若杉さんの教えは、現代の食品ロス問題に対して、我々一人ひとりがどう対応していくべきかを考えさせてくれる。

一方、ダーヴィドさんに「新しい価値観を提供してくれる活動家」と言わしめたのが、「昆虫食伝道師」として知られている篠原祐太さんだ。「コオロギラーメン」を世に出し、未来の食と言われる昆虫料理の世界で、「旨味」や「美味しさ」を追求している。

この二人に共通していることは、「自然との距離の近さ」だと話すダーヴィドさん。自然を大切にし、自然から学び、そしてその自然を守ることの大切さを感じながら、人間の存在意義を考える。そのようなアプローチを、今改めて地球で生きるものとして考える必要を感じさせられた。

食だけでなくエネルギー問題にも触れる

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