
NEXCO東日本グループは「地域をつなぎ、地域とつながる」をテーマに掲げ、高速道路事業を軸にしたSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを進めている。その一つが、生態系保全と環境教育を兼ねたビオトープの保全活動だ。10月3日には青森中央ICにあるビオトープ「あずましの水辺」で、地域の高校生らを招き、草刈りや課外授業を行った。(オルタナ編集部=吉田広子)
地域連携で絶滅危機のメダカを保全

「何かキラキラしている、これはメダカだ」「ヌカエビってこんなに透明できれいなんだね」「アメリカザリガニだ!捕まえて駆除しないと」
あちこちから高校生たちの楽しそうな声が聞こえてくる。胴付長靴を着込んだ生徒らは、池に入り込んで、水中の草を刈り、水生生物を虫網で採集した。足元が不安定な中でも、根が張った草を4人がかりで引っこ抜く。水辺の周りには刈り取られた草が積み上がった。

保全活動の舞台となったビオトープ「あずましの水辺」は広さ約3000平方メートル、2つの池とそれらをつなぐ水路、3本の木橋で構成されている。メダカのほか、ヌカエビやヒメゲンゴロウ、ドジョウ、フナなどさまざまな在来種の生息地だ。
「初めてメダカを見たら、想像していたのと少し違った。草刈り鎌を使ったのも初めて。いろいろな生物を実際に目で見て、詳しくなれたのが嬉しい」。青森北高校1年の張間玲那さんは目を輝かせる。
同じ青森北高校1年の白川咲良さんは、生物が好きで参加を決めた。「メダカをよく見ると透き通っているのが分かって新しい発見だった。普段はあまり自然の生き物に接する機会がないので貴重な体験ができた」と喜んだ。

保全活動の舞台となったビオトープ「あずましの水辺」は広さ約3000平方メートル、2つの池とそれらをつなぐ水路、3本の木橋で構成されている。メダカのほか、ヌカエビやヒメゲンゴロウ、ドジョウ、フナなどさまざまな在来種の生息地だ。
「あずましの水辺」が誕生したのは2001年。NEXCO東日本が青森自動車道を建設する際に、周辺に生息していたメダカや在来種の生息地を守るために造成した。メダカは1999年に絶滅危惧Ⅱ類(環境省レッドリスト)に指定された希少生物で、「メダカは保全が必要」という認識が広がっていた時期だった。こうした生き物たちが住みやすい場所を保全したいという思いから、津軽弁で「心地よい」という意味の「あずましい」から「あずましの水辺」と名付けた。

「生態系の維持には人間の手が必要」