地域連携とSDGsの実現へ

草を刈るといった保全活動そのものはNEXCO東日本グループ社員だけでも実施できる。しかし、同社はこうして地域に開き、環境や生物について学ぶ機会を提供することを大切にしている。
東日本高速道路 東北支社 青森管理事務所の那知上美裕所長は「新型コロナウイルスの影響で春の活動は当社社員のみで行ったが、今回は学生たちに自然と触れ合う機会を提供できて良かった。『あずましの水辺』は、地域連携とSDGsを実現する取り組みの一つ。SDGsの目標15『陸の豊かさも守ろう』や目標17『パートナーシップで目標を実現しよう』にもつながる」と話す。
那知上所長は当時、青森自動車道の建設事業にかかわっており、企業の責任として環境保全に努めなければいけないという意識を強く持つようになったという。
周辺では宅地開発が進み、水田の用水路から水を引けなくなった現在、散水車でビオトープに水を持ってくることもある。青森管理事務所の坂井勝美工務担当課長は「雨が降らなかったり、天候が悪かったりすると、『あずましの水辺』の池は大丈夫かと気になってしまう」と笑顔を見せる。

NEXCO東日本グループは2019年春、中期経営計画にSDGsを組み込んだ。高速道路の効果を最大限発揮することで、地域社会の発展と暮らしの向上を支え、日本経済全体の活性化に貢献することを目指す。
東日本高速道路 技術本部 技術・環境部 環境課の鈴木雄吾課長は「開発事業にかかわる以上、環境への影響を最低限に抑えながら、プラスの価値も生み出していけるように努めている。希少な生物を保全するビオトープや高速道路に動物用の橋を架ける取り組みもその一環。地域と連携することで、環境保全に興味を持ってもらう機会になれば嬉しい」と語った。
NEXCO東日本は今後も「地域をつなぎ、地域とつながる」をテーマに、事業を通じたSDGsの取り組みを進めていく。