米大統領選は11月3日に投開票するが、その翌日(4日)に米国が気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から正式に離脱する予定になっている。米国は世界第2位の温室効果ガス排出国(地球全体の14.5%=2017年)であり、離脱の影響はあまりにも大きい。米国は復帰できるのか。(オルタナ編集部=池田 真隆、松田ゆきの)
パリ協定は、世界の平均気温の上昇を「産業革命以前に比べて2度より低く保ち、1.5度に抑える努力をする」という長期的な目標を定めた国際的な取り決め。2015年に195カ国が合意して国連で採択した。
このパリ協定によって各国が脱炭素社会の実現へ舵を切り、今回の菅首相による「2050年カーボン実質ゼロ(脱炭素)」宣言の伏線にもなった。
バイデン候補当選なら「パリ協定」復帰は可能
しかしトランプ米大統領は、国内の石油・シェールガス産業に配慮し、2017年6月にパリ協定から離脱すると宣言した。その期限が今年11月4日なのだ。今回、トランプ大統領が再選されると、そのまま11月4日に米国のパリ協定離脱が正式に決まる。
逆に民主党のバイデン候補が当選すればどうなるのか。実は「パリ協定からの脱退」は議会の承認を得ないで決められる「大統領令」なので、パリ協定への復帰を宣言できる。パリ協定の条文には、承認プロセスを経て30日後には正式に再加盟できると書いてある。
バイデン候補は、選挙公約に大統領になった初日にパリ協定に再加盟することを入れている。石油産業からの産業転換や、「2050年にCO2排出ゼロの社会を目指す」ことも明言した。
在日米国大使館は「ノーコメント」
オルタナ編集部はアメリカ大使館に、バイデン候補が大統領になった場合、パリ協定に復帰する可能性について問い合わせたが、大使館の広報からは「現時点では答えられない」旨の回答だった。
だが、もしバイデン候補が勝てば、2021年1月20日の大統領就任式で再加盟を宣言し、早ければ、その30日後には正式に復帰が決まることになる。つまり2021年2月19日にパリ協定に復帰する道筋だ。