地球温暖化で漁獲量は最低水準

【連載】人と魚の明日のために オルタナ論説委員・井田徹治(共同通信社編集委員兼論説委員)

魚の不漁の知らせが各地から続く中、農林水産省は2020年5月、最新の漁業・養殖業生産統計で「2019年の魚の漁獲量は養殖を含めて416万3千㌧と1956年以降で最低だった」と発表した。漁獲量は前年比5.8%減。1281万㌧余りだった1984年をピークに減少の一途が続き、当時の3分の1にも満たない。

中でも減少が目立つのはサンマの漁獲量だ。全国さんま棒受網漁業協同組合によると7─10月末の全国のサンマ漁獲量は1万2913㌧と、過去最低だった昨年同期の2万299㌧の64%にとどまる。

10月以降持ち直しつつあるが、過去最低を更新するペースが続いている。同組合によると、昨年まで水揚げが10年連続日本一の北海道の花咲港は6341㌧と昨年同期比51%にとどまっている。

地球温暖化の影響もあって日本近海の海面水温が高い状態が続き、サンマの漁場が日本から遠い公海に形成されていることが大きな理由で「来遊量は漁期を通じて極めて低調に推移し、昨年を下回る」と予測されている。地球温暖化が進むと冷たい水を好むサンマの漁場が東側に移動する可能性があることはかなり以前から指摘されているのだが、これが現実のものになってきたようにみえる。

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井田 徹治(共同通信社編集委員兼論説委員/オルタナ論説委員)

記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

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