──ESGのSに関連する取り組みは。

幸せな家を提供している会社の社員が不幸ではいけません。「幸せとは何か」を考えたとき、一つは家族と一緒にいることだと思いました。

そこで「男性社員の育児休業1カ月以上の完全取得」を目指し、2018年9月に「イクメン休業」制度を開始しました。対象者である1千人近くが100%取得しています。

このほか、健康経営の観点から部署ごとに「歩数」のランキングも出しています。

──同性のパートナーシップ制度も話題を集めました。

事実婚や同性パートナーを人事上の配偶者とみなす「異性事実婚・同性パートナー人事登録制度」を11月に開始しました。建設業界では初めてのことです。社内外から高い評価を受けました。

ガバナンス改革で代取4人

──コーポレートガバナンスを経営上の重要課題として位置付けていますね。

2018年から「ガバナンス改革」を進め、代表取締役は4人体制になりました。代取の70歳定年制の導入や、女性社外役員の登用、経営会議の設置なども進めています。

いま私たちがやろうとしているのは、グループ全体の力をいかにして一つにするか。ビジョンがなければ強い会社はできません。経営トップはいまベクトルを合わせることを重要視しています。

──2019年1月期決算では最高益を達成しました。ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)が好調のようですね。

当社の特徴は、ビジネスと環境戦略が一致していることです。例えば、排出権を購入してCOを相殺することはできますが、それでは意味がありません。業績が悪くなると指摘されますから。

私たちは業績が良くなければ、ZEHをもっと売るように言われる。そうするとCOも減るし、業績も良くなる。顧客満足度も高い。三方良しになるわけです。これは環境を「機会(オポチュニティ)」にして事業を進めていくという話。そうでなければESGとしても評価されません。

事業活動の使用電力を100%再生可能エネルギーにする「RE100」の取り組みも同様です。FIT(固定価格買取制度)の順次終了に伴い、戸建て住宅や賃貸住宅のオーナーから11円/kWhで電力を買い取り、事業用電力として利用します。

私たちの功績は、買取価格を引き上げたことではないでしょうか。社会を良くするためには、一番良い条件を一番初めに示すことが大切です。

──それが企業の責任ということですね。

メッセージが重要です。私たちは使い捨てプラスチックにも反対し、社内からペットボトルを無くしました。日本人が理解できないものの一つに、ゴールとターゲットの違いがあります。「脱炭素」というのは、ゴールに向かって走るということ。欧米では、100%実現できなくてもゴールに向かって走ることが重要だとされています。

一方で、石炭火力発電所を国内外に建設しようとしている日本は、ゴールとは逆の方向に走っていると思われています。ですから、国際社会からの評価が低い。

日本人は、最終的にゴールにたどり着けば良いと考えているわけですが、やはり言行一致しない人は、信用されない。できるかできないかではなく、まずは決める。なりたい姿を描かなければ、決してなれません。

石田 建一(いしだ・けんいち)
1957年東京都生まれ。1985年工学院大学大学院博士課程修了、積水ハウス入社。東京設計部、商品開発部、ICT推進部などを経て、2002年ICT推進部長、2006年温暖化防止研究所長、2012年4執行役員・環境推進部長兼温暖化防止研究所長、2016年4月から現職。

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