【連載】日本農業 常識と非常識の間
ぼくは「持続可能な農業を創る会」というのを運営している。有機農業や特別栽培(農薬、化学肥料5割以上減)に取り組む生産者(団体)や流通・販売に取り組んでいる人、JAなど農業団体、農業系の金融関係に属する人などが集まる。
あくまで私的勉強会で、有機農業から慣行農業まで、日本農業の進むべき道をバランスよく考えられる人々ということを心がけて声をかけている。民間レベルで農業の現場や生産者の声を軸に政策提言をまとめていくのが目的だ。
2019年11月に7回目の会合を行ったが、テーマは「農業と炭素貯留、生物多様性の関係」。そこで明らかになったのは、2019年8月に公表された農林水産省が農研機構に委託した「環境保全型農業直払制度の効果検証」ということで行った「有機栽培、特別栽培、慣行栽培の炭素貯留(=CO2削減効果)、生物多様性の実証比較」である。
結論から言えば、カバークロップや堆肥(植物性堆肥の効果が高い)などの施用を行う有機農業の優位性がはっきりと出ている。生物多様性では有機農業のほか水田での冬季湛水や「江(小さな池)等」設置などの効果が高いことが分かった。