【連載】オルタナティブな空間

メガネのレンズの横の小さなカメラが、目の前の文字を撮影、直後に音声で読み上げてくれる。それが「OTON GLASS(オトングラス)」だ。「オトン」には、「音の」という意味と関西弁で「お父さんの」という2つの意味がある。開発者である島影圭佑の父親が脳梗塞の後遺症で失読症を発症し、風景や顔などは認識できるけど、文字やテキストが認識できなくなってしまった。そのサポートのために開発を始めた経緯が、名前の由来だ。

開発は、筆者と開発パートナーの飯島祥さん(26)を中心に様々な人がコミットしながらオープンエンドで進められた(撮影:加藤南)、写真は2019年

そのオトングラスの馬場専用モデルを作ることになった。きっかけは、東京アーツカウンシルキュレーターの森司さんが僕らを引き合わせてくれたことだった。

僕は建築家という仕事をしているにもかかわらず、緑内障による視覚障害で活字や小さな文字が見えない。色とか風景はなんとなくわかるけど、トレーシングペーパー越しに見ている感じ。障害者重度は一級レベルで、文字の読み書きは全て音声認識ソフトを使っている。森さんはそれを知っていて、オトングラスと馬場を掛け合わせると面白いことが起こるのではと誘ってくれたんだと思う。