アルゼンチン政府はこのほど、国家公務員のうち1%をトランスジェンダー、トランスセクシャル、クロスドレッサー(異性装)に割り当てることを義務付ける法律を施行した。調査によれば、これらの人々の60%が学業を終えることができず、90%が一般的な労働市場から排斥されている。法律は、義務教育を終えていない人が、働きながら学業を終了することを条件に雇用されることを保障している。(パリ編集委員=羽生のり子)

LGBTQの社会運動を象徴する6色のレインボーフラッグ ©️Daniel James – unsplash

この法律(政令721/2020)は、対象者を「トランスジェンダー」、「トランスセクシャル」、「クロスドレッサー」の人々としている。ゲイ、レズビアンなどの人々は対象外だ。戸籍に登録した性や名前を変えた人にも、変えていない人にも法律は適用される。

トランスジェンダーは性自認と出生時に割り当てられた性が一致していないこと。トランスセクシャルは性自認と出生時に割り当てられた性を一致させるために医学的処置を希望する、あるいは行うこと。クロスドレッサーは性自認と出生時に割り当てられた性が同じ人が、異性に関連づけられた服装をすることを示す。

同法律は2020年9月4日に施行された。「クロスドレッサー、トランスセクシャル、トランスジェンダーの人々は(他の人々と)同等に生産的な仕事に就く権利がある。ジェンダー・アイデンティティやジェンダー表現を理由とした就職差別や失業から守られる」と明記されている。

また、「中高等教育を終えていない人は学業を続け、欠如しているレベルを補うことを条件に、就職することができる」とある。アルゼンチンの中高等教育は義務教育で13歳~17歳までだ。

「アルゼンチン クロスドレッサー・トランスセクシャル・トランスジェンダー協会」の調査によると、これらの人々の90%が、差別により一般の労働市場から排斥されており、95%が売春をし、60%が学業を終えていないという。平均寿命は35~40歳という報告もある。