【連載】オルタナティブの風
「人類の過去の歴史に学べば、人類の未来についての洞察が得られる」という思想。それは、これまで社会科学が依拠してきた基本思想でもある。
例えば、経済学の「コンドラチェフの波」などの景気循環の法則や、政治学の「貧しい国で生まれる独裁体制は、経済が豊かになるにつれて民主主義に移行する」という法則、社会学の「発展途上国には、資本主義の導入に伴って、欧米的な文化が広がっていく」という理論など、これまでも、多くの法則や理論が提唱されてきた。
こうした社会科学による未来予測が一定の有効性を持つことは確かであるが、一方、近年の科学技術の急激な発達がもたらす現実の中で、いま、社会科学が、現実の変化に追いつけず、大きな限界に突き当たっている。