自分がどんなに努力をして、話の内容を理解しようとしても、それは難しいことでした。それでも周りの人が聞こえないことを理解して、分かるように教えてくれたりすると、初めてルールを理解して、守ることができるようになりました。

私は、いじめる人もいじめられる人もどちらとも悪いとは思いません。社会の障害者に対する理解と協力が足りないだけです。社会の障害者に対する理解を広めるためには、私たちが世の中には色々な人がいるという多様性(ダイバーシティ)について、もっと関心を持ち、理解していくといったポジティブな対応をしていく必要があります。

2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標である持続可能な世界を実現するための17のゴールであるSDGs(Sustainable Development Goals)は「地球上の誰一人として取り残さないこと」という考え方に基づいており、「多様性の理解・受容」とも合致しています。

多様性の理解・受容が進めば、マイノリティ(小人数派)にとって生きやすい社会が実現します。立場や環境が変われば、誰でもマイノリティになり、差別を受ける可能性があります。例えば、今は健康であっても、コロナに罹ってしまうと、いつ、コロナ差別を受けるかもわかりません。差別が起きるのを防ぐために、社会はさまざまな方法で防ぐ手段を講じています。例えば、差別をさせないための正しい知識を広める啓発活動や、差別を禁ずるための法律といった手段です。

■ネガティブな反応を防ぐための取り組み

「平等」と「公平」の違いを表す。「公平」では、すべての人が「見える」ように配慮されている

1つの例として、「障害者差別解消法」があります。障害者は国民のおよそ7.6%存在しています。全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、2016年4月に施行されました。

障害者を差別する事例としては、さまざまです。障害を理由に就学、採用、昇格、乗車、治療、入院など、生活を営むのに必要な行動を制限されたり、拒否されたりすることがあります。この法律では、国や自治体、民間事業者に対し、障害を理由とした差別を禁じています。また、「合理的配慮」の提供も合わせて求めています。

グラウンドで野球試合を観戦している人たちのイラストがあります(画像参照)。左側は、従来の「平等」の考え方です。すべての人に同じ条件(踏み台)を与えています。しかし、一人ひとりの事情や配慮すべきポイントが異なってくるため、すべて一律に配慮しても結果として、見えない人が出てきます。

右側は、最近注目されてきている「公平」の考え方です。ここでは、すべての人が「見える」ように配慮(踏み台)を提供しています。この配慮のことを「合理的配慮」と言います。

合理的配慮とは、障害者の移動やコミュニケーションにおけるバリアを費用などが過重にならない範囲で取り除くことを指します。車いす利用者のための段差へのスロープ設置や聴覚障害者のための手話通訳、音声認識ソフトによる対応などがあげられます。

この合理的配慮の提供を、国や自治体は「義務」として取り組まなければなりません。しかし、これまで民間事業者については自主的な取り組みを求める「努力義務」にとどまっていました。 さらに、合理的配慮の提供を国や自治体には義務化しているが、民間事業者については自主的な取り組みを求める努力義務にとどまっていました。

■多様性の理解・受容をより促進するための法改正

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