廃物がおしゃれなインテリアに「リサイクリングデザイン大賞」発表

ドイツのヘアフォード市で9月11日、「リサイクリングデザイン大賞」が発表された。同賞は、廃材や余 り材を利用した斬新なデザインの家具やインテリアに毎年授与されるもので、今年で3回目になる。


最優秀賞受賞のPatery とデザイナーのグレゴール・コレヴィアク氏
©RecyclingBörse/ Ralf Bittner


優秀賞のDisk-o-Kugel とデザイナーのダニエラ・ローライング氏
©RecyclingBörse/ Ralf Bittner

今回、最優秀賞を受賞したのは、古いテレビ画面を再利用したガラス器のシリーズ「Patery」。ポーランド出身のグレゴール・コレヴィアクのデザイン で、テレビ画面のガラスの半透明な色あいを、そのまま器の個性に生かしたもの。手仕事による仕上がりの美しさが評価された。このほか優秀賞には、広告に使 用後のネオン管と古い変圧器を使ったカラフルな照明器具「add to light」(アティラ・ザイゲル&ローレンツ・シュライバー制作)、CDのきらめきをミラーボールに利用した「Disk o-Kugel」(ダニエラ・ローライング制作)、地下工事で使われたプラスチック製パイプをリビングテーブルに変身させた「The Rohrichs」(マックス・ノイシュタット制作)の3点が選ばれた。


優秀賞「add to light」(アティラ・ザイゲル&ローレンツ・シュライバー制作)
©RecyclingBörse/ Ralf Bittner

同賞は、社団法人のリサイクリング研究団体「Arbeitskreis Recycling e.V.」(本部ヘアフォード市)が主催するもの。この種の賞としてはドイツ唯一で、今回は昨年の約3倍に当たる250点の応募があった。「デザイナーの 側で、『リサイクル』を超えた『リデザイン』に対する関心が加速的に高まっているのを感じます」と広報担当のハンス・エンゲル氏。応募作の質量両面の充実 に伴い、同賞は連邦環境庁、バウハウス・デッサウ財団、地元の現代美術館「マルタ・ヘアフォード」などを協賛団体として獲得、国内外で評価を確立した。今 年は国際的アートキュレーターのヤン・フート、ドイツを代表するインテリアデザイナーのヘルマン・ヴァイツェネッガー、バウハウス研究者のトルステン・ブ ルーメら、デザインの専門家8人が審査員を務めた。


優秀賞の Rohrichs とデザイナーのマックス・ノイシュタット氏
©RecyclingBörse/ Ralf Bittner

同団体の設立は1984年。「ゴミを減らすこと」を趣旨に本、衣類、自転車などの組織的なリサイクルを 行うと同時に、設立当初から「アート/文化との対話」を主軸のひとつに据えて様々なイベントを開催してきた。中古家具を解体して新しいものに作り直す木工 所を併設しており、「要らなくなったからと捨てられた家具が、新しい意味と価値をもつものに生まれ変わる」(エンゲル氏)過程を目の当たりにしてきたこと が、一般のデザイナーにも廃材利用を呼びかける「リサイクルデザイン大賞」のアイデアにつながった。これに先立つ1999年から「リサイクルアート大賞」 を隔年で開催、反響が大きかったことも「デザイン大賞」新設の追い風になった。

受賞作品は、奨励賞17点と併せてマルタ・ヘアフォードで公開された後、ベルリン、ハンブルク、デュッセルドルフのデザインセンター「Stilwerk」 での展示を経て、ベルギー・ゲント市のデザイン美術館に巡回する。廃物がおしゃれなデザインに生まれ変わる可能性をアピールすることで、「リサイクリング デザイン大賞」は、デザイナーに対しては仕事の意義付けを問い直し、消費者に対してはリサイクルへの新たな視点を提示している。

キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..