富士通は3月23日、社会課題解決型ビジネスを創出する新部署「ソーシャルデザイン事業本部」を設立したと発表した。「生活者の視点」からこれまで埋もれていた真の課題を発見し、社会課題の解決に取り組む。実際の組織発足は2020年7月で、すでに事業を始めているという。(山口 勉)

社会課題の解決ほど、素敵なビジネスはない

「ソーシャルデザイン」とは人々の生活や社会をよりよくするために社会課題を解決すること。デザインするのはモノだけでなく社会そのもの。対象となる社会課題には地球温暖化や医療格差、貧困、教育格差、持続可能なまちづくりなど、インフラ整備や環境問題まで幅広い分野が含まれる。

社会課題の解決を起点にビジネスを創出する方法は、SDGs(持続可能な開発目標)でも「アウトサイドイン」として位置づけられている。オルタナ本誌56号の第一特集でも「SDGsビジネス戦略:アウトサイドインは昭和と海外に学べ」を掲載した。

富士通の新事業本部の目的は、人々の働き方や考え方、価値観が大きく変わりつつある現在、この急激な変化に対応し社会と産業を再構築(リ・デザイン)することだという。

具体的には、DX(デジタルトランスフォーメーション)企業としての強みを生かし、デジタルラボ産業領域の研究開発加速、循環型社会(サステナブルシティ、まちづくり)の実現、教育分野におけるDX推進(EdTech)、データ活用と流通円滑化(デジタルタッチポイント)、生体認証による社会活動の基盤整備などの事業に取り組んでいる。

こうした取り組みのひとつとして、同社は今年1月に顔認識と手のひら静脈認識技術を組み合わせた非接触の生体認証システムを開発した。コロナ禍で接触を避ける生活様式やマスクをしたままで認証できる点からも注目されている。

実際マスクをしていても99%の精度で本人を特定できるといい、ローソンのレジ無し店舗でも生体認証のみで買い物ができるキャッシュレスシステムとして実証実験も始まっている。

世界のソーシャルデザイン事例

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