中国でのビジネスはどうすべきか(藻谷 浩介)

【連載】藻谷浩介の『ファクトで考えよう』(4)

中国の新疆ウイグル自治区での人権弾圧問題に、どう対応すべきか、頭が痛い企業は多いだろう。(藻谷 浩介・日本総合研究所主席研究員/オルタナ客員論説委員)

先般、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、決算発表の席上で新疆ウイグル自治区製の綿を使っているかと問われ、「問題があれば取引は停止している。政治問題にはノーコメント」と発言した。中国市場で事業が伸長している同社としては、これ以外に答えようがない。

中国での製造や、中国からの原材料の輸入は、他国へと切り替えていける場合も多いかもしれない。だが中国市場の代替物はない。コロナ禍の下での2020年4~9月(半期)、日本は中国+香港から計2.6兆円、米国から3.7兆円の経常収支黒字を稼いだ。合わせれば同期間の日本の黒字総額6.7兆円の9割以上であり、どちらかを取引相手として失うことは耐えられない。

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藻谷 浩介(日本総合研究所主席研究員/オルタナ客員論説委員)

山口県生まれの56歳。平成合併前の全3,200市町村、海外114ヶ国を自費で訪問し,地域特性を多面的に把握。地域振興、人口成熟問題、観光振興などに関し研究・著作・講演を行う。2012年より現職。著書に『デフレの正体』、『里山資本主義』 (KADOKAWA)、完本・しなやかな日本列島のつくりかた(新潮社)など。近著に『進化する里山資本主義』(Japan Times)、『世界まちかど地政学 Next』(文藝春秋)。 写真:青木優佳【連載】藻谷浩介の『ファクト』で考えよう

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キーワード: #ビジネスと人権

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