欧米で活発化する「修理する権利」とは

【連載】ALTキーワード

今回紹介するキーワード:修理する権利

近年欧米で「修理する権利」を求める動きが活発化している。これは自動車や電子機器などの所有者が、メーカーを通さずにその製品を修理・改造できる權利を意味する。

一般的にメーカーは、自社製品の修理サービスやパーツ販売を、自社や提携業者のみを通じて独占的に提供しがちだ。これは品質管理や安全性の観点では合理性もある仕組みだが、サービスの独占が修理費用の高騰に繋がりやすい。

その結果「修理するより新品を買う方が安い」状況が生まれ、製品は安易に廃棄されてしまう。

一方で修理する権利の支持者は、製品を修理しやすい環境を整備するようメーカーに求めている。具体的にはリペアブルな(修理しやすい)製品の設計、修理用のマニュアルや診断ツールの公開、修理市場の開放やパーツの提供、計画的陳腐化(短期的モデルチェンジなどの施策)の防止などを求めている。

法整備の動きも進む。米マサチューセッツ州では2012年に「自動車修理権法」が制定され、メーカーに修理情報の提供が義務付けられた。2020年3月にはEUが循環型経済行動計画を採択しており、その中で修理する權利の強化を示している。

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もり ひろし(新語ウォッチャー)

新語ウォッチャー。国語辞典の新項目執筆を中心に活動。代表的な連載に「現代用語の基礎知識」の流行観測欄(2010年版~)など。執筆記事一覧

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