富裕層に「社会貢献」のうねり

「資金だけではなく、つながりや経験など持てるものを動員して社会を良くしていく取り組みの価値はとても大きい。日本のフィランソロピストの皆さん、ともに未来をつくっていきましょう」(ペギー・ダルニー・ロックフェラー氏)

コロナ禍以前からうまれつつあり、コロナ禍を超えて、それが更に加速化しつつある日本の重要な潮流が、いわゆる「HNWI(High Net Wealth Individuals)」と言われる人たちの社会貢献への関心の高まりである。(日本ファンドレイジング協会代表理事=鵜尾 雅隆)

これは統計的に示せるものではないが、金融機関のウェルス部門の人達が口を揃えて言うのは、日々顧客と話す中で「富裕層が社会貢献をしたがっている」という実感値である。

欧米やアジア諸国でも、富裕層が社会貢献の一環でファミリー財団を設立するケースは多く、例えば米国では全財団7万3764のうち、個人が立ち上げたファミリー財団が4万456法人と半数以上となっており、しかもその5分の3は資産規模百万ドル(1.1億円)以下の小規模財団という調査結果がある。ちなみに、今の日本の助成財団数は約2千だ。

「日本は富裕層が少ないのだ」という声もよく聞くが、World WealthReport2020によると投資可能資産を百万ドル(1.1億円)以上もつ富裕層の数では日本は300万人超で世界第二位となっている。確かに「超」富裕層の数はそれほど多くはないかもしれないが、「富裕層」は決して国際的に小さな層ではないのが日本なのである。

多様なニーズに応えるプラットフォーム設立

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鵜尾 雅隆(日本ファンドレイジング協会代表理事)

連載:社会イノベーションとお金の新しい関係 日本ファンドレイジング協会代表理事。国際協力機構、外務省、米国NPOを経て、ファンドレイジング戦略コンサルティング会社ファンドレックス創業。寄付、社会的投資の進む社会を目指して日本ファンドレイジング協会を創設。著書に『ファンドレイジングが社会を変える』など。

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