昨今、女性取締役がいない企業にネガティブなESG評価を突きつける機関投資家が増えている。取締役に女性は必要であるが、非常勤の社外取締役であるパターンも多く、実務上のダイバーシティが取れているとは言えないことも多い。そこで「女性部長数ランキング」からどんな企業があるか見てみよう。(CSRコンサルタント=安藤 光展)
昨今、女性取締役がいない企業にネガティブなESG評価を突きつける機関投資家が増えている。取締役に女性は必要であるが、非常勤の社外取締役であるパターンも多く、実務上のダイバーシティが取れているとは言えないことも多い。
では、現実的な管理職というと部長職がある。「女性管理職」という定義だと、部下数の差はあれ取締役から主任まで幅広いものとなるが、現場の上級管理職である部長職の女性割合が、組織の実質的な女性管理職と言えるはずだ。
その女性部長数を調べることで、その企業の女性活躍(といわれる状況)の実態を知ることができるのではないだろうか。そこで「女性部長数ランキング」(※)からどんな企業があるか見てみよう。
■女性部長数ランキング
1. みずほフィナンシャルグループ(247人)
2. 日本電信電話(165)
3. 日立製作所(147)
4. りそなホールディングス(124)
5. NEC(116)
6. 三井住友フィナンシャルグループ(96)
7. セブン&アイ・ホールディングス(88)
8. パソナグループ(83)
9. 日産自動車(80)
10. 三菱UFJフィナンシャル・グループ(71)
■女性部長率ランキング
1. ABC Cooking Studio(94.4%)
2. シーボン(66.7)
3. スタジオアリス(60.0)
4. ASIAN STER(57.1)
5. アイリックコーポレーション(50.0)
6. コスモ・バイオ(50.0)
7. IBJ(40.0)
8. 富士ソフトサービスビューロ(38.9)
9. ドラフト(37.5)
10. リクルートホールディングス(36.4)
女性部長数が9割を超えてしまうと逆に、男性が少なすぎる問題があるものの、部長率上位企業は、ジェンダー・ダイバーシティが高く、バランスの良い企業と言える。ちなみに、部長比率ではパソナグループが12位となっており、部長数・部長比率どちらの視点でも上位企業となっており、国内最上位企業の一つと言える。上位企業をベンチマークとし、どのような取り組みを行なっているかなどを研究してほしい。
もちろん、必ずしも女性部長が多ければ女性活躍が進んでいるということではないが、組織の重要なポジションに女性が多いことは、多くの企業が到達できていないほどのすばらしいことではある。
本来は、女性だろうが男性だろうが優秀な人が部長になればよいのだが、世の中は男性部長ばかりなので、女性部長を増やす努力が企業側にある。上位企業はさらなる躍進を、その他の企業は上位に食い込める努力を期待している。
※『CSR企業白書2021』(東洋経済新報社)