温室効果ガスの削減に向けて、エアコンや冷凍・冷蔵機器の冷媒に使う代替フロン「HFC」(ハイドロフルオロカーボン)の削減に各国が乗り出す。HFCは、CO2やメタンなどとともに削減対象の一つだが、その地球温暖化係数はCO2の最大1万倍だ。米環境保護庁(EPA)もHFCの国内生産と使用を85%削減に向けて新たな規制を設ける方針だ。(オルタナ副編集長=吉田広子)

冷凍・冷蔵や空調機器からは、設備不良や経年変化によってHFCを含めたフロン類が漏れてしまう。そこで、HFCは1997年の京都議定書で法的拘束力のある「温室効果ガス」として排出抑制の対象になった。

オゾン層を破壊する物質に関する「モントリオール議定書」では、徐々に規制が強化され、2019年1月に発効した「キガリ改正」によって、日本を含め批准した各国は2036年までにHFC排出量を85%削減することが求められている。

米国は現時点でキガリ改正に批准していない。しかし「バイデン大統領は、HFCを2036年までに大幅に削減するという2016年の世界合意(キガリ改正)を受け入れることを約束した」(米テレビ局CBS)という。

バイデン政権は今後15年間で、米国内のHFCの生産と使用を85%削減するための規制を設ける方針だ。

代替フロンの管理に詳しい日本冷媒・環境保全機構(JRECO)の作井正人専務理事は「HFCの生産を規制するとなれば、米冷凍空調機器製造及びコールドチェーンを含めた産業界への影響は日本と同様に大きい」と指摘する。

米国がキガリ改正に批准するかは未知数だが、「キガリ改正を米国が批准することで、米産業界で大きな問題となり、それが日本にフィードバックされることを期待したい」と話した。

日本は2018年12月にキガリ改正に批准した。2019年1月からはHFCの生産規制を進めている。国内法としては「改正フロン排出抑制法」が2020年に施行され、使用時の冷媒漏えいに加え、機器廃棄時の確実な冷媒回収を目指し、違反者には初めて「直接罰」を科すことになった。

ただ、こうした規制と裏腹に、日本のHFC排出量は2005年から2019年までに約4倍に増えた。作井専務理事は「代替フロンの生産が抑制されるなか、適切に回収できなければ、数年内に日本で一部の冷蔵・冷凍や空調機器が使えなくなる可能性もある」と警鐘を鳴らす。

代替フロン(HFC)の生産可能枠は2024年に実質6割減になり、このままでは冷凍・空調機器が使えなくなる