日本コカ、30年にGHG排出量半減へ

日本コカ・コーラがボトラー社などの関連会社と構成するコカ・コーラシステムはこのほど温室効果ガス(GHG)の排出量を2030年までにスコープ1と2(工場やオフィス、エネルギーに起因する排出量)で50%(2015年度比)、スコープ3(原料の加工、自動販売機などの排出量)で30%削減することを目指す環境目標を策定した。これは、グローバルで定めたバリューチェーン全体で2015年比25%削減という目標よりも高い日本独自の環境目標になる。(オルタナS編集長=池田 真隆)

日本コカが掲げたGHG排出目標 *クリックすると拡大します

コカ・コーラシステムとは、原液の供給や製品の企画開発などを行う日本コカ・コーラとボトラー社や関連会社などからなる集まりで、これらを総称して「コカ・コーラシステム」と名付けている。

同システム全体で連携して環境配慮の取り組みを行うが、各社でも独自の取り組みを行なってきた。

スコープ1(工場やオフィスなどの直接排出)に当たるみちのくコカ・コーラボトリングの花巻工場では2015年、ボイラー工場の燃料を重油から液化天然ガスに切り替えた。沖縄コカ・コーラボトリングの浦添工場は重油を使ったボイラーシステムから都市ガスに変えた。

スコープ2(購入エネルギーに起因する間接的な排出)では、コカ・コーラボトラーズジャパンが各地の工場に太陽光パネルを設置したり、兵庫県守山市にある守山工場では毎月のエネルギーや水の使用量を可視化して、改善策を検討したりしている。

スコープ3(自動販売機や原料加工などの間接的な排出)に関しては、「い・ろ・は・す 天然水」や「コカ・コーラ」、「ジョージア」のペットボトル素材を100%再生素材にしたり、容器の軽量化、ラベルレスボトルの開発などを行う。

今回、グローバルで定めた目標よりも高い目標を掲げた理由として、同社の飯田征樹・サステナビリティー推進部長は、「すでに個社でGHG削減の取り組みを行なっており、他国と比べても100%リサイクルペットボトルの導入が大きく進んでいる。これらのことからグローバルで定義するよりも高いレベルの目標が達成可能と判断した」と話す。

コカ·コーラシステムでは、2022年までに「ボトルtoボトル」50%、2030年に100%サステナブル素材への切り替えなどを目指す「容器の2030年ビジョン」を定めているが、これもグローバルよりも高い目標設定だ。

こうした環境対応は消費者からの期待もある。「100%リサイクルペットボトルの導入やラベルレス製品、紙パッケージ製品への消費者の反響を見ても、より環境負荷の低い商品を選びたいという声は確実に増えている。海洋プラゴミの削減だけでなく、気候変動への対応という観点でも、飲料企業として責任を果たしたい」。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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