日本ハムは11月11日、2030年までに国内の全農場で妊娠ストールを廃止すると発表した。同日に開いた取締役会で決定した。妊娠ストールとは、肉用の子豚を妊娠した母豚が拘束される個別の檻を指す。狭い面積のため妊娠期間中は後ろを振り向くこともできない。劣悪な飼育だと批判が出ており、EUやスイス、ニュージーランドなどは禁止している。(オルタナS編集長=池田 真隆)

日本ハムは11日、動物衛生の向上を目指す考え方である「アニマルウェルフェアポリシー」を制定し、具体的な取り組み目標を発表した。
2030年までに全農場の妊娠ストールの廃止に加えて、2023年度末までに全処理場内の係留所に飲水設備の設置(牛・豚)、2023年度末までに全農場・処理場への環境品質カメラの設置を掲げた。
妊娠ストールとは、妊娠した母豚を入れておく檻を指す。狭い面積に閉じ込める飼育方法がNGOなどから批判され、妊娠ストールを禁止する国や廃止する企業が増えている。
妊娠ストールを禁止している国は、EU、スイス、ニュージーランド、米国、オーストラリア、カナダ、南アフリカ、ブラジル、イスラエル。廃止を表明している企業は、世界最大手の食肉加工会社JBS(ブラジル)を筆頭に約60社に及ぶ。
一方、日本では9割以上の農場で妊娠ストールは使われており、日本の豚の「と畜場」の86%には、飲水設備がない。
日本ハムが妊娠ストールの廃止を表明したことについて、認定NPO法人アニマルライツセンターは、「国際的に通用するアニマルウェルフェア対応である。今後も多くの食品企業が、アニマルウェルフェアの変化を受け入れ、具体的な変化につながる未来を、一緒に描いてくれることを願います」とコメントを出した。