■オルタナ本誌59号 特別寄稿から

2001年からアニマルライツセンターで調査、キャンペーン、戦略立案などを担い、2003年からアニマルライツセンターの代表理事を務める。衣類や食品として扱われる動物、動物園や水族館など娯楽に使われる動物を救うための活動を行う。
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、アニマルウェルフェア(動物福祉)への関心は高まりつつあるが、まだ日本企業の反応は鈍いのが現状だ。アニマルウェルフェアを進めるためには何が必要か。数々のキャンペーンを展開してきた認定NPO法人アニマルライツセンター(東京・渋谷)の岡田千尋代表理事に寄稿してもらった。
畜産動物へのあまりにひどい扱いが問題となった1964年から、欧州を中心にずっと積み上げられてきた畜産動物のアニマルウェルフェアの議論が、50年経った今、企業を大きく変容させている。
代表的なものが、自社で取り扱うすべての卵を平飼いか放牧のものに2025年などの目標時期を定めて切り替える「ケージフリー宣言」。ファストフード店、スーパーマーケット、加工食品企業やレストランなど、食品を扱う1700社以上の企業がこのケージフリー宣言をしている。
15年前頃から徐々に始まり、この数年で急加速し、アジア、アフリカ、南米などの企業にも広がっている。台湾のカルフールや、日本と中国を除くアジアのサブウェイ、韓国の鶏卵市場の12%を占める企業もケージフリー宣言をした。日本でも外資系企業を中心に複数の企業が含まれる。
薬剤耐性菌の問題も
一方、鶏肉の場合、消費者意識の変化だけではない動機づけが存在する。抗菌剤が効かない菌により人々の健康が脅かされるという薬剤耐性菌の問題だ。
*この続きは雑誌「オルタナ」59号(第一特集「動物福祉(アニマルウェルフェア)のリスクと機会」、12月17日発売)に掲載しています。