セールスフォース・ドットコム(米・カリフォルニア)は11月1日、性別適合手術などを希望する社員に対して、最大400万円の補助を行う福利厚生制度をグローバルで導入すると発表した。この補助制度は米国本社とカナダ支社にしかなかったが、オーストラリア支社にいる一人のLGBTQ+の社員の声から全社員が利用できるようになった。同社は日本を含む29カ国以上に支社を持ち、全社員数は約6万5000人に及ぶ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

2019年、「東京レインボープライド」に参加したセールスフォース・ドットコムの社員たち

「この制度がLGBTQ+に対して考え直す機会となり、最終的には平等な社会につながることを願っている」――。セールスフォース・ドットコムの鈴木雅則・常務執行役員人事本部長はこう強調した。

LGBTQ+とは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クイアなどの性的マイノリティーの総称だ。同社では、ダイバーシティと平等性は「イノベーションの源泉」と考えており、自分らしく働ける職場環境を追求してきた。

その一環として、11月1日にジェンダーアファメーション(性自認の確認と肯定)を支援する施策を2つ発表した。一つ目は、性別適合手術費の補助や手術後の4週間の有給休暇、性別変更にともなう法的手続きの費用の補助などの支援制度をグローバルに広げたことだ。

この制度は米国本社とカナダ支社だけにしかなかった。グローバルに広がったきっかけは一人の当事者の声だ。オーストラリア支社にいるLGBTQ+の当事者の社員が「利用できないのは、平等ではない」と声をあげた。

トランスジェンダーのコミュニティーが直面する最大の障壁の一つに、医療へのアクセスがある。同社ではLGBTQ+のコミュニティーに耳を傾ける中で、当事者たちが必要な支援を受けるために苦労していることが分かった。そこで、社内にいる有志チームと共同で制度設計の構築に向けて動き出したという。

二つ目は、日本法人独自の制度として、パートナーシップ合意契約公正証書と任意後見契約公正証書の作成費用を最大で5万円まで補助するという内容だ。

まだ発表して1カ月が過ぎただけだが、社内から好意的な声が相次いで出ていると鈴木常務は話す。

例えば、こんな声があるという。

「マイノリティーグループの当事者として、こういった平等性を持った福利厚生制度は非常にありがたく感じた」

「利用するかしないかは別として、会社としてこのようなサポートがあることに非常にありがたく思う(具体的には、守られている感じがする)」

「このような活動・考え方が日本に広まり、最終的には同性婚の合法化につながることを強く願う」

鈴木常務は、「すべての社員が安心して、自分らしく働ける職場を目指しており、今回の新しい福利厚生はそのための重要なステップである」と話した。