衆院は2月1日午後、本会議で新彊(しんきょう)ウイグルやチベット、南モンゴル、香港などの「人権状況に対する決議」を採択した。当初決議案に盛り込んでいた「人権侵害」「非難」といった表現は使わず、人権状況の監視と救済するための施策を求めるにとどまった。米国やオランダ、英国などがウイグル問題を「ジェノサイド(大量虐殺)」と認定したことと比べると、批判的姿勢は弱い印象だ。(オルタナ副編集長=吉田広子)

日本ウイグル協会(東京・文京)は各地でウイグル問題を訴える街頭活動を行っている(2021年6月撮影、新静岡駅で)

今回採択された「新彊ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」は、法的拘束力を持たない日本政府としての意思表明だ。当初の決議案では「人権侵害」「非難」という言葉を使っていたが、最終的には「人権『状況』に対する『懸念』」と表現するにとどまった。

同決議は「人権の尊重を掲げる我が国も、日本の人権外交を導く実質的かつ強固な政治レベルの文書を採択し、確固たる立場からの建設的なコミットメントが求められている」とし、次の2つを求めた。

・(新疆ウイグル、チベット、南モンゴル、香港等における、信教の自由への侵害や、強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念に対し)事実関係に関する情報収集をすべき

・国際社会と連携して深刻な人権状況を監視し、救済するための包括的な施策を実施すべき

日本政府の姿勢や実効性が不明瞭な一方で、米国やカナダ、オランダ、英国、フランスなどはウイグル問題を「ジェノサイド(大量虐殺)」と認定。米政府は新疆産品の輸入を原則禁止する「ウイグル強制労働防止法案」 を可決し、6月に発効する予定だ。

国際NGO243団体は北京五輪のボイコット呼び掛け

2月4日の開幕を前に、国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチをはじめ243団体はこのほど、北京2022 オリンピック・パラリンピックをボイコットするように各国政府やスポンサーに呼びかけた。

日本政府は「外交的ボイコット」とは明言しないものの、政府関係者の北京への派遣は見送っている。

最高位となる大会のトップスポンサーは、Airbnb(エアビーアンドビー)、アリババ、アリアンツ、アトス、ブリヂストン、コカ・コーラ、インテル、オメガ、パナソニック、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)、サムスン、トヨタ、ビザの13社だ。

中国の人権擁護団体チャイニーズ・ヒューマンライツ・ディフェンダーズのレニー・シア・ディレクターは、「冬季オリンピックが北京で開催されるということは、習近平政権が『ノーマル(正常)』であると世界に知らせることである。こうした虐待を正当化することは、被害者が不正義に立ち向かうことを阻害する」と訴える。

国際NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチは、同NGOが2021年5月にトップスポンサー13社に対し、人権リスクの管理について書簡で尋ねたところ、アリアンツ以外の回答はなかったと報告した。

BBCの報道によると、中国が人権侵害で非難されていることについて13社にコメントを求めた結果、言及した企業はいなかったという。オメガはBBCの取材に対して「当社は開催地(北京大会)のスポンサーではなく、オリンピックの公式タイムキーパーとデータハンドラーである」との認識を伝えている。