CDPはこのほど、「グローバル・サプライチェーン・レポート2021」を発表した。同レポートは、企業が自社のサプライチェーン上で発生するリスク、環境アクション、公的コミットメントを考慮した際に、調達過程でとるべきアクションを調査分析したものだ。世界全体で500社を選出し、そのうち105社を日本企業が占めた。(オルタナ副編集長=山口勉)

英国の国際非営利組織CDPは毎年同レポートを発表している。「気候変動」「水の安全性」「森林」の3つについて、サプライチェーンの観点で改善していくための取り組みを調査、分析した報告書だ。
2021年版は、「真に意味のある環境行動に取り組む先進的な企業はある。しかし少数派だ。取り返しのつかない環境危機の連鎖を避けるため、企業はサプライチェーン全体で、今すぐ行動する必要がある」と警鐘を鳴らした。
同レポートでは、個々の企業の取り組みを、「サプライヤー・エンゲージメント評価」でランキングしている。
ランキングは、CDPが実施する「サプライヤー・エンゲージメント評価(SER)」によって行うもので、ガバナンス、目標、温室効果ガス(スコープ3)、バリューチェーンエンゲージメントの4つの項目が対象だ。
2021年は、SERに回答した企業の評価上位8%にあたる約500社が、「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」として選定された。そのうち、日本企業は、イオン、アサヒグループHD、サントリー、花王、ユニチャーム、三井不動産など105社が選ばれた。
CDPは、2000年に英国で設立された国際NGOで、投資家や企業、都市、政府が環境への影響を測定し、気候変動等にどのように取り組んでいるか調査・評価を行っている。気温上昇を「1.5度以下」に抑えることを目標とするSBT(科学的根拠に基づいた排出削減目標)の共同設立者でもある。
2021年のレポートでは、情報を開示した企業のうち、気候変動についてサプライヤーと関わっているのは38パーセントだけだ。「水の安全性」への取り組みを見ると、16%しかなかった。
商社やメーカー、小売業者で、森林破壊のリスクを管理および軽減するためにサプライヤーを超えて取り組んでいるのは、47パーセントに留まった。