JFRカード 二之部 守社長インタビュー

長期化するコロナ禍で買い物のあり方が変わるなか、「大丸」や「松阪屋」などの大型商業施設を運営するJ.フロントリテイリング(JFR)グループは決済・金融事業を中核事業と位置付ける。その事業を担うのは、JFRグループ傘下のJFRカードの二之部守社長だ。2018年に金融事業を強化するため社長に就任したが、外部からの抜擢は同社初だ。二之部社長は地域連携がカギと話す。(聞き手・オルタナS編集長=池田 真隆)

JFRカードの二之部社長

――日本は海外と比べてキャッシュレス化が進んでいません。治安の良さや導入店舗の手数料負担が原因とされていますが、御社ではどのようにしてキャッシュレス化を推進していきますか。

まず、キャッシュレス化を推進することのメリットに社会全体で現金を扱うことに費やしている「社会コスト」の削減につながることがあります。このコストは主に、現金の発行費や輸送費、ATMの管理費などで、約1兆3千億円といわれています。

経済的なメリットに加えて、レジでおつりを渡すという行為も必要なくなるので衛生的観点からも推進する意義があります。さらに、有事の際のセキュリティ対策にも生きます。東日本大震災のとき、津波で住宅が流されたことで預金がなくなったというケースが多発しました。

このようにメリットはありますが、日本でのキャッシュレス化は進んではいません。推進するには、顧客のニーズと紐づけて展開することが必要だと考えています。

JFRグループは「大丸」「松坂屋」「パルコ」「GINZA6」などの大型商業施設を運営しています。これらの特性を生かして、施設周辺の店舗と連携してまちの活性化を通して、キャッシュレスを進めていきます。

施設周辺にカード加盟店舗を増やすことで、エリア全体のキャッシュレス環境を整えていきます。会員にとっては、ポイントが貯まったり、利用できたりするので、相互送客を実現して地域全体の売り上げ向上に貢献していきます。

JFRカードが発行する「大丸松坂屋カード」

――コロナ禍によって移動が制限され、買い物のあり方も変わりました。

確かにオンラインで買い物をする人は増えました。リアルの強みをいかに発揮できるのかが問われています。そこで強化しているのが、ウェルネスです。飲食やショッピングだけでなく、調剤薬局や歯科など「健康」を支援するクリニックモールを施設内に入れていきます。

札幌、上野、名古屋、心斎橋、神戸、京都など全国の集客力のある大型都市で展開していますが、それぞれのまちが持つにぎわいを生かして、地域とは連携していきたいと思っています。大丸も松阪屋も地域に根差しながら発展してきました。その役割は今も変わっていません。

――御社では昨年7つのマテリアリティを策定し、サステナビリティ経営を強調しました。

マテリアリティは2021年に「サーキュラ―エコノミー」と「健康/安心・安全な暮らし」の2つを追加しました。サーキュラーエコノミーを追加したのは、百貨店側からの要望です。フードロスの削減や服の廃棄量の削減、リサイクルの推進などを強化していくことを明確に示しました。

「健康/安心・安全な暮らし」はJFRグループとして推奨しています。これまで小売りはモノを売ることが業務の中心でしたが、今後は健康や安心・安全な暮らしなどコトを売るビジネスモデルに舵を切る必要があると考えています。

カード会員の特典に、人間ドッグの割引や女性のためのがんセミナーへの参加券などを用意していきます。

大丸の根本理念「先義後利」が象徴するように、創業当初から社会全体の繁栄を意識した経営を続けてきました。

いまの時代は企業が生き残るためにサステナビリティは不可欠なので、サステナビリティ経営の考え方についてサイトに記載しました。これは、私が2018年3月にJFRカードの社長に就任してすぐに着手したことです。

サステナビリティは掲げているだけでは、企業に何の効果ももたらしません。ビジネス的な成功は難しく、中長期的な視点で見ない限り、従業員や顧客、地域社会から支持を得られたことに気付きづらいものです。一言で言うと、信じているかどうかなのです。

策定した7つのマテリアリティに関しても、経営トップを含めて全従業員が共感しているかどうかと思います。まずは、やれることからやっていきたいと思います。続けていくことで、ドライブするときが必ず訪れるはずです。