■間違いだらけの自転車選び(26) 山本修二(自転車ジャーナリスト)
●注目のポイント
1 耐荷重170㎏の強靭なフレーム
2 100km以上走れる安心の航続距離
3 荷物を積んでも楽に走れるアシスト力
●今回の自転車紹介
ターン/HSD P9
価格38万5000円(税込)。フレームは、ハンドルとサドルの間が低くデザインされているので、楽に乗り降りができる。変速機とブレーキは、シマノ製。ディスクブレーキは制動力が高い油圧式。2022モデルのカラーは、タラゴンとデューンの2色。
ターンバイシクルズジャパン https://ternbicycles.jp/
■環境対策も意識するグローバルバイクカンパニーが生産
Tern(ターン)は、アーバンコミューターやフォールディングバイクを得意とするサイクルブランドで、日本はもちろん、北米や欧州で信頼を集めている。また、同社は毎年、純利益の1%を社会貢献や環境活動をしている団体に寄付する活動を続けている。
2021年には、発展途上国の移動手段がない人たちに自転車を寄付するNPO「ワールドバイシクルリリーフ」など3つの組織に計4万5000米ドル(約520万円)を寄付した。ほかにも梱包資材に再生段ボールを使用したり、有害な化学製品を使わないなど、環境対策にも配慮している。
そんなターンが発売する「HSD P9」は、キュートなデザインからは想像できないほどの積載力を秘めたEカーゴバイクだ。大型のリアラックを標準装備し、そのラックに取り付けるバッグやカーゴトレーなどの豊富なオプションを組み合わせることで、驚くほど積載力を高めることができる。
フレームは強靭なアルミ製。これに振動を和らげるサスペンションフォークを組み合わせている。HSD P9は、ドイツの検査機関の試験で170㎏まで耐えられる強度が認められている。しかも全長は165㎝と、一般的な子供載せ用の電動アシスト自転車よりも10㎝程度短い。スポーツバイクらしいキレのいい走りに期待ができる。
小径の20インチホイールは、荷物を積んだときに重心を低くできるメリットがある。タイヤは、シュワルベのビッグアップル(20×2.125インチ)。このタイヤは転がり性能、振動吸収性、耐パンク性能に優れていて、快適な走行性能の実現に大きく貢献している。
電動アシストユニットは、ボッシュ製。容量300Whのバッテリーを搭載。フル充電した状態で、最長110㎞もの距離をアシスト走行できる。
アシスト力は、荷物の量や斜度、向かい風の強さなどに合わせて4段階に調整できる。もっとも消費電力が少ない「ECO」モードでも、グイグイと坂を登れる。最強の「TURBO」にすると、トルクが強烈にアップし、瞬時に時速24㎞に到達する。日常的な買い物程度なら、「ECO」モードだけで十分、快適に走れるだろう。
アシストモードの切り替えだけではなく、9段変速機も搭載されているので、普通のスポーツバイクと同様に、ギアを切り替え、自分が快適と感じる回転数でペダルを踏める。ハブという車軸を支えるパーツも高性能な仕様で、回転性能が高いためアシストをオフにしても平地なら、それほど負荷を感じることなく走れるだろう。
■フォールディングバイクの技術を応用して利便性をアップ