ある方から「飲食店での持ち帰り、100%断られる。どうにかならないのでしょうか」と相談をいただいた。

コロナ前は大人数で飲食店に行く機会があったので、筆者も持ち帰りを頼んでみることがあった。だが、中華料理店では「保健所がうるさいからだめ」、立食パーティでは、フランスパンですら「安全性の観点からすべて禁止しています」という回答だった。

持ち帰りを頼んだら「衛生上の理由で一律禁止しています」と断られた(写真:井出留美)

コロナ禍になり、これまで持ち帰りを禁じていた飲食店が、軒並み「テイクアウト」を始めたのには驚いた。ただ、店側は作りたての持ち帰りを認めても、調理してから時間が経過している食べ残しは認めないことが多い。なぜなのか。

一つには、食中毒のリスクを回避する企業の意向があるだろう。また、飲食業界で、パートやアルバイトの雇用が多いことも背景にあるのではないか。生ものか、そうでないかなど、食べ物の種類によって、持ち帰りの際のリスクは異なるのだから、ケースバイケースで許可してもいいはずだ。

だが、曜日や時間ごとにシフトの違うアルバイトに教育しきれないし、彼らも判断できないだろう。「一律禁止」としておけばリスクは生じない。

すべての客に提供するわけではない持ち帰り容器のコストを、はたして店が負担すべきかという問題もある。プラスチック容器は安価だが、2022年4月からはプラ新法の施行が始まり、使い捨てプラは削減の方向へ動いている。プラでない素材を使うとコストが数倍以上に上がる。

食べ残しを持ち帰るのは、3Rの2番目の優先順位である「リユース(再利用)」だ。だが、その上の概念である「リデュース(減らす)」、つまり食べ残しを出さないことは、さらに優先順位が高い。

京都市では早くから「食べ残しゼロ推進店舗」の認定制度を設け、8項目中、2項目以上で実践できていれば、飲食店は市に申請でき、認可されればロゴマークを使うことができる。この取り組みは飲食店のみならず、小売店にまで広がっている。

令和3年度 食品ロス削減環境大臣表彰で審査員をつとめた際、ドギーバッグ推進にあたる「mottECO(モッテコ)賞」を受賞したのは、株式会社セブン&アイ・フードシステムズとロイヤルホールディングス株式会社だ。https://www.env.go.jp/recycle/foodloss/event01.html

大手企業で持ち帰りを推奨している事例は決して多くはない。では、国は、飲食店での食べ残しの持ち帰りを禁止しているのだろうか。いや、していない。

農林水産省・環境省・消費者庁・厚生労働省の4省庁は、2017年5月に、飲食店の食べ残しの持ち帰りに関して通知を出し、留意点を考慮した上で持ち帰りを実施するよう、飲食店と消費者に呼びかけている。たとえば『食べ残し料理の「持ち帰り」は自己責任の範囲で』と書かれている。https://www.env.go.jp/press/files/jp/105747.pdf

この通知が出されてから5年経つが、周知されているとは言い難い。

2021年7月31日、京都市に開店した量り売りスーパーの斗々屋(ととや)は、レストランを併設している。スーパーで売れ残りそうになった野菜は惣菜として売るか、夜のレストランで提供する。それでも残れば真空の瓶詰め加工にして常温で1〜2年、保管できるようにして販売する。

有償・無償問わず、使い捨て容器はいっさい提供しない。ゼロウェイスト(ごみゼロ)を目指しているからだ。日本では、企業が消費者におもねる傾向があると感じる。斗々屋のように徹底した姿勢は、すがすがしい。消費者にとっての啓発にもなる。

飲食店を経営する事業者は、まずは「食べきり」を徹底し、その上で、希望者は自己責任で食べ残しを持ち帰りできるよう、国の通知に基づき実践してほしい。