「SDGs」(持続可能な開発目標)は2021年の流行語大賞にノミネートされるほど、日本でもすっかり馴染みのある言葉になった。『おやこで話す はじめてのSDGs』(日本能率協会マネジメントセンター、コール智子著)は、11人の子どもたちの物語を通して、読者親子に「自分ごととしてSDGsの本質を考えること」を訴求する一冊だ。(寺町幸枝)
社会問題を自分ごと化する
「SDGs」で大切なのは、目標やターゲットを覚えることだけではなく、一人ひとりが自分の生活の中で、どれだけ問題意識を持って行動できるかだ。
本書は、登場する主人公たちと、子どもたち自身や友人とを重ねて想像できるように描かれ、「自分ごと化」しやすいように工夫されている。小学校低学年向けに漢字に読み仮名が振られ、読みやすくなっている。
さらに、章ごとに出されている「問いかけ」は、子どもだけでなく一緒に読み聞かせる大人にとっても、一言で回答し難い問いが並ぶ。例えば、「きみは女らしく/男らしくっていわれたこと、ある?そのとき、どう思ったかな?」などだ。
探求学習の資料として
本書を出版する日本能率協会マネジメントセンターは、この「おやこで話す」シリーズとして、これまでにLGBTや貧困を題材にした書籍を発行している。いずれの書籍にも、大人向けのガイドがついているため、さらに深く学ぶための資料へのアクセスも可能だ。教育分野で注目される「探求」という視点においても、学びを深めるための資料として利用できる。
次世代を担う子どもたちに、様々な社会課題とその解決策をどう届けたらよいか。毎日の生活の中で、様々な問題を「自分ごと」として捉え、問いかけることがいかに重要か、本著を通じて痛感した。