国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」は6月2日、163カ国のSDGsの達成状況を調べた報告書を発表した。日本は昨年の18位から一つ順位を下げて19位だった。日本は2019年の15位から3年連続で順位を後退した。「ジェンダー平等」(目標5)、「つくる責任、使う責任」(目標12)、「気候変動対策」(目標13)、「海の環境保全」(目標14)、「陸の環境保全」(目標15)、「パートナーシップ推進」(目標17)の6つが最低評価だった。(オルタナS編集長=池田 真隆)
SDSMの報告書では、SDGsの17目標を4段階で格付けした。2016年から毎年調査を行っている。日本は2017年の11位がピークだ。2018年と2019年は15位、2020年が17位、2021年は18位と順位を下げ続けていた。
今年の上位3カ国は昨年と変わらず北欧のフィンランド(1位)、デンマーク(2位)、スウェーデン(3位)が占めた。上位10カ国は全て欧州の国だった。
■2年連続「世界はSDGsで進捗遂げていない」
報告書では世界各国のSDGs進捗度の平均スコアを出している。2年連続でスコアを下げ、「世界は2年連続でSDGsで進捗を遂げていない」とまとめた。特に、目標1の「貧困」と目標8の「働きがいと経済成長」に関しては、多くの低所得国と低中所得国でコロナ禍以前の達成度を下回っていたことが分かった。
気候変動や生物多様性についても、先進国の達成状況が「遅すぎる」と指摘し、2023年の「SDGsサミット」までにSDGsを進めるための金融システムの強化を最重要事項に挙げた。
G20には、開発途上国がSDGsを進めるための資金援助、ODAの増加、大規模な慈善活動などを求めた。
上位を欧州が占めたことについては、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするための成長戦略「欧州グリーン・ディール」のもとに法律や制度を整えてきたと評価した。一方で、児童労働に関して「無寛容」とし、「持続不可能な貿易システム」があると課題も指摘した。