エコホテル巡礼(3)HOTEL GREAT MORNING(ホテル グレートモーニング)
●エコなポイント
1:F-CONの存在。風、音を出さず、澄んだ空気の中で過ごせる館内の快適さ
2:竹や自然素材、オーガニック製品など体と心に優しい空間造り。FUTAEDA 特許とイワタのコラボによる寝具+ホテルとTEORIとイワタ(岩田)の共同開発
3:飲料水、浴室にも、研究の上に辿り着いた最高級の「水」のこだわり
福岡市博多区の一画に、環境にも健康にも配慮した「ホテル グレートモーニング」が建っている。開業は2018年11月、部屋数はわずか23室の小規模なホテルだ。
ホームページを開くと、「泊まれば泊まるほど、地球も人も喜ぶホテル」と謳う言葉に目が留まる。多くの人々が睡眠で何かしら悩む現代、睡眠に特化したホテルかと思ったが、睡眠はもちろんのこと、健康志向と共に環境負荷をかけないさまざまな工夫がなされていた。
「ホテル グレートモーニング」は、エアコンの無いホテルとして知られている。都会に暮らす人々にとって、酷暑の多くなった日本の夏をエアコンなしで過ごすなんて――と、筆者自身も最初はそう思っていた。
しかし訪れてみると、確かにホテル内にはエアコンは一台も取り付けられていない。その代わりに、風も音もない理想的な冷暖房システム「F-CON」(エフコン)という、無風、無音の装置が設えてある。
F-CONは自然界の温度変化の原理と同じ、遠赤外線の「輻射・放射」を最大限に活用することで、室内の快適温度を実現する」という画期的な冷暖房設備だった。風が当たる不快感もなく、森林浴をしているような快適さの中で、梅雨の時期であることをすっかり忘れていたほどである。
「F-CONのFは「二枝」の「F」でもあり、FutureのFでもあります」と語るのは、ホテルのオーナー会社CEOの二枝たかはる氏だ。「まだまだ進化中ですから」と二枝徳英・マネージャーも続ける。
家族で役割を担い、大切に育てているホテルであることが伝わってくる。最高の朝を迎えるために一切の妥協を惜しまず、無風の冷暖房と、自然素材で高品質の部屋造りから快適な睡眠が演出されている。
冷房の風は体を直接冷やしてしまうため苦手な人が多い。反対に暖房も同じことが言える。実は当の筆者もエアコンの風が苦手な一人。F-CONの作動する部屋では空気が澄んで、無風状態だが快適な室温に保たれている。体に当たる風がないということは、喉の渇きもなく肌の乾燥も心配ない。
爽やかな空気感の中で過ごせる室内では、風による体の緊張感やストレスを感じなくて済む、寒すぎて上着を羽織る必要もないのだ。F-CON は、無風なことからアレルギーの原因となるホコリやダニ・花粉などを巻き上げることもない画期的なシステムなのだ。
F-CON の実績はすでに全国に及び、1700物件(2022年6月末時点)の戸建て住宅、マンション、オフィス、病院、学校などに使用されているという。