記事のポイント
- JERAは4年半にわたる相場操縦で、1日当たり最大1億円の利益を得た
- 経産省の電力・ガス取引監視等委員会が、不当な利益額を算出した
- JERAが業務改善勧告に従わなければ、罰金に発展する可能性も
JERAは4年半にわたる相場操縦によって、1日当たり最大で「1億円」の不当な利益を得ていたことが明らかになった。電力・ガス取引監視等委員会・取引制度企画室が算出し、オルタナの取材に答えた。同委員会は11月12日付で、JERAに対して業務改善勧告を行っていた。(オルタナ副編集長=池田 真隆、同編集部=松田 大輔)
■12月12日までに再発防止策の報告義務課す
電力・ガス取引監視等委員会は11月12日、日本最大の電力会社であるJERAに対して電気事業法に基づき業務改善勧告を行った。
同社は、2019年4月から2023年10月まで、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場で、市場相場を変動させる認識を持ちながら、余剰電力の一部を供出していなかった。余剰電力が発生した場合、卸市場に供出することが義務付けられている。
その結果、最も影響が大きい時では取引価格が1kWh当たり、50円以上値上がりした可能性がある。
帝国データバンクによると、2021年4月7日時点で登録のあった「新電力会社」706社のうち、2024年3月22日時点で2割弱にあたる119社が「撤退」「倒産・廃業」した。JERAの「相場操縦」は、そうした「撤退」「倒産・廃業」にも影響したと指摘される。
■不当な利益収入は1日最大で「1億円」に
JERAが「相場操縦」によって得ていた不当な利益収入は、1日当たり最大で「1億円」に上る。経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会・取引制度企画室がオルタナ編集部の取材に答えた。
同企画室は、「2019年4月から2023年10月までの4年半の間、毎日1億円を得ていたわけではない。あくまで最大の金額だ。最小値や平均値までは算出できていない」と回答した。
■JERAは、「ツールの設定不備」が原因と主張
■委員会は、「利益目的の不正」と結論付け
■JERAの改善なければ、さらなる罰則や罰金も
■消費者団体や新電力による訴訟の可能性も