記事のポイント
- EU理事会は「建物のエネルギー性能指令改正案」を正式に採択した
- 建物のエネルギー消費と温室効果ガス(GHG)排出の削減を目指す
- 新築の建物は2030年までにゼロエミッション化する
EU理事会は4月12日、建築物のネットゼロ化に向けて、「建物のエネルギー性能指令(EPBD)」の改正案を可決した。新たな規則では、2030年までにすべての新築建築物をゼロエミッション化する。建物の暖房システムについても、2040年までに化石燃料ボイラーの使用を段階的に廃止する。(オルタナ副編集長・北村佳代子)

欧州委員会によると、建設部門は、EU全体のエネルギー消費の40%、エネルギー関連のGHG排出量の3分の1以上を占める。また家庭でのエネルギー消費の80%は、冷暖房、給湯に使われているという。
EUでは、本規則を通じて、既存の建物の改修も促し、2050年までにすべての建築物のゼロエミッション化を図る。なお、歴史的建造物や礼拝施設、軍所有物など、特定の建物については、適用除外を認める方針だ。
新築の建築物については、居住用か非居住用かにかかわらず、敷地内からの化石燃料によるGHG排出を2030年までにゼロとすることを義務付ける。なお、公共施設には、2年前倒して2028年までのゼロエミッション化を求める。
この達成に向けて、新築物件や公共施設、さらには改修中の一部非居住用建物に、は原則、太陽光発電設備の導入を義務付ける。
また、建物内や隣接地に、EV充電スタンドや自転車用駐輪スペース、将来的なインフラ拡充を見据えたプレケーブルやダクトなどの設置も求め、EVや自転車などのサステナブルなモビリティ向けのインフラ整備を進める。
■既存の建築物には居住用・非居住用で異なるルールに